下水路改修工事現場でドラグ・ショベルの運転者が切梁に激突
業種 | 上下水道工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 掘削用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | パワーショベル等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 区画、表示の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.100073
発生状況
この災害は、改修中の下水路内でドラグ・ショベルを運転中、両側の壁に打ち込まれた矢板を補強する切梁と運転手の背中が接触し胸部がはさまれたものである。この工事では、ドラグ・ショベルで既設の下水路の底部を掘削し、掘削が完了すると下水路の底部に石を敷いてそこへコンクリートを打設し、その後下水路両側の壁にコンクリートを打設する手順で作業が予定されていた。
災害発生当日は、前日に引き続き堆積土砂の除去を行うことになり、まず、現場責任者が移動式クレーンで土砂運搬車とドラグ・ショベルを下水路内に降ろした。
その後、現場責任者は、別の現場に向かい、被災者の同僚の2名はそれぞれ現場内に設置されている水中ポンプの点検、裏山の堤防設置工事現場の見まわりに行った。
水中ポンプの点検に行った同僚が点検を終え戻ってくる途中、現場の下水路内において、先に水路内に降ろしたドラグ・ショベルの運転席で操作レバーと鋼製の切梁との間に身体が挟まれている被災者を発見した。
近くにいた別の作業員を呼んで、切梁をガスバーナーで切断して救出し救急病院に運び込んだが、すでに心停止の状態で当日の午前10時過ぎに死亡した。
なお、当日の朝の作業指示の時には、被災者は現場には到着していたが、他の場所にいて参加していなかった。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 矢板側面を補強する鋼製の切梁が取り付けられた状態では、ドラグ・ショベルが走行するには地面からの高さが不足しているのに走行したこと。
2 ドラグ・ショベルが鍵をつけたままの状態で放置されていたこと。
3 ドラグ・ショベルの運転を法定の技能講習修了者でもなく、特別教育を受けた者でもない者が運転したこと。
4 ドラグ・ショベルにヘッドガードが装着されていなかったこと。
対策
この災害は、改修中の下水路内でドラグ・ショベルを運転中、両側の壁に打ち込まれた矢板を補強する切梁と運転手の背中が接触し胸部がはさまれたものであるが、同種災害を防止するためには次のような対策の徹底が必要である。1 作業指揮者を配置し、作業開始前の明確な指示と遂行状況の管理を行うこと
2 狭隘な場所における運行経路の安全確認を行うこと
3 車両系建設機械の運転は有資格者に行わせること
4 作業マニュアルの見直しと安全教育を実施すること
5 ドラグ・ショベル等の管理を徹底すること
6 ヘッドガードの装着機械を使用すること