アスファルトフィニッシャの清掃中、降下したスクリュードと路面との間に挟まれる
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の建設機械等 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 道路建設工事 | ||||
災害の種類 | その他の建設機械等による(車両系) | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置の調整を誤る |
No.100071
発生状況
この災害は、高速道路の舗装改良工事において災害発生当日の舗装作業が終了し、アスファルトフィニッシャ(以下、フィニッシャという)に付着したアスファルト合材(以下、アスファルトという)を取り除く清掃作業中に発生した。午後3時頃当日の舗装作業が終了したので、フィニッシャに付着したアスファルトを暖かいうちに取り除いた方が作業効率が良いため、フィニッシャのエンジンをかけた状態で現地で清掃作業を実施することとした。
被災者がフィニッシャの「スクリード」(アスファルト合材を敷均した際に軽く転圧する機構)の下に潜ってヘラでアスファルトのかき落とし作業を行っていた。
この時、被災者よりフィニッシャの運転担当者に対して「バイブレーター(駆動軸の回転によりスクリード面を振動させて締め固める)を動かしてくれ」と要請があったので、運転担当者はフィニッシャの運転席に行き「締め固め用スイッチ」を「切」から「連続」に切り替えた。
その途端、「ギャー」という叫び声がしたため、作業装置の担当者が被災者の方を見たところ,被災者の上半身がフィニッシャの運転席の左側後方の伸縮スクリード(メインスクリードが舗装道路に比べて短すぎる場合、舗装幅に合わせて拡げることができるスクリード)と路面との間に頭部を挟まれていた。被災者は頭から出血しており、すぐに救急車を呼んだが、既に死亡していた。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 点検及び清掃に関する作業方法、作業手順、安全対策等が作業手順書等により定められていなかったこと。
2 フィニッシャの運転に際し、当該運転手に対する教育が十分でなかったこと。
3 フィニッシャのスクリード部の清掃作業を行う際、スクリードアームフック(スクリードが降下しないようにするためのロック装置)が外れたままで、また、台木、安全ブロック等のスクリードの降下防止措置を講じないままスクリード部と路面間に入り作業を行ったこと。
4 被災者がスクリードアームフックがロックされているものと判断して運転者に指示を行い、また、運転者も当該スクリードアームフックがロックされているものと思って締め固め用スイッチ(バイブレーター駆動用スイッチ)を入れてしまったこと。
対策
この災害は、高速道路の舗装改良工事において災害発生当日の舗装作業が終了し、フィニッシャのスクリードに付着したアスファルトを取り除く清掃作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 フィニッシャの点検・清掃の作業方法、作業手順及び安全対策等についての作業手順書を定め、その作業手順書に基づいて関係現場員の安全衛生教育を実施し、徹底を図ること。
2 スクリードの下方等フィニッシャの下に入る作業が必要な時にはスクリードと路面との間に専用の台木、安全ブロック等を入れ、スクリードの降下防止措置を講じてから作業を行わせること。または、スクリードアームフックがかかって、スクリードが降下しないことを確認してから作業すること。
3 フィニッシャの運転の業務について、経験を有する者をもって充てること。
4 合図の方法が声掛けであったため、フィニッシャの運転中はよく聞こえなかったこと。