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この災害は、被災者がダンプトラックを傾斜地に停車させてエンジンを掛けたまま離れ、その後方を歩いていたところ逸走してきた当該ダンプトラックにひかれたものである。
被災者は、道路整備工事の重機運転者及び土工として従事していたが、当日の作業は、現場と一般道とがつながる搬入路の整備で、ダンプドラックを運転し、上司がドラグ・ショベルを運転することになった。
被災者は、4t積のダンプトラックで1回約2tの土砂を積載し、2回目までは上司の誘導で搬入路の傾斜地中程までダンプトラックを後進させそこで降ろしていた。
午後4時20分頃、3回目に土砂を運んで戻ってきたときに、上司は2回目に運び込んだ土砂を均す作業を行っていたので、ドラグ・ショベルに乗ったままで被災者にダンプトラックを停止するよう手で合図した。
被災者は、合図に従いダンプトラックを搬入路の入口となる約4度の傾斜上部に停止させ、それからエンジンを掛けたままでダンプトラックを降りて上司の整地作業の状況を確認するために、停止させたダンプトラックの後方を歩き始めた。
それから約1分後、ダンプトラックが傾斜地の下方に逸走し始め、ダンプトラックの後方にいた被災者はこの下敷きとなった。
その後、逸走したダンプトラックは、約17mはなれたところにあった上司の運転するドラグ・ショベルに激突して止まった。
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この災害の原因としては、次のことが考えられる。
1 エンジンをかけたままの状態で、ダンプトラックから離れたこと。
2 ダンプトラックを停車させる場所に傾斜地を選んだこと。
3 サイドブレ−キを十分に掛けていなかったこと。
4 サイドブレ−キ以外に車輪止を使用する事、ダンプトラックの逸走を防止する措置を講じなかったこと。
5 ダンプトラックのエンジンを掛けたまま降車することを上司が気づいたにもかかわらず、注意せずにその行為を容認したこと。
6 ダンプトラックの逸走防止等に関する教育が不十分であったこと。
7 元請が現場の安全管理を下請業者に任せきりにしていたこと。
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この災害は、ダンプトラックを傾斜地に停車させてエンジンを掛けたまま離れ、その後方を歩いていたところ逸走してきて轢かれたものであるが、同種災害を防止するためには次のような対策の徹底が必要である。
1 エンジンをかけたまま運転席から離れないこと。
2 ダンプトラックを傾斜地に停車させないこと。
やむを得ず傾斜地に停車し離れる必要がある場合には、逸走を確実に防止する措置を講じること。
3 労働者に対して安全衛生教育を実施すること。
4 元請等は現場巡視等を通じ、下請に対して十分な安全指導を行うこと。
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