道路改良工事において後進したクローラダンプにひかれた
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 不整地運搬車 | |||||
災害の種類(事故の型) | 交通事故(道路) | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 道路建設工事 | ||||
災害の種類 | 不整地運搬車 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 安全の不確認(以前の) | |||||
発生要因(人) | 憶測判断 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.100062
発生状況
この災害は、道路改良工事において、掘削部分から盛り土部分にクローラダンプで土を運ぶ作業を行っていたオペレーターがクローラダンプを後方確認せずに後退させたところ、労働者をひいてしまったものである。オペレーターは、盛り土部分に土がたまったのでブル・ドーザーで敷き均し作業を行うように指示された。そのため、掘削部分上部に置いてあるブル・ドーザーを取りに行くこととし、クローラダンプを、建設中の道路と町道の交点部分から町道へ少し入った所に一時仮置きすることに決め、クローラダンプの向きを変えるため交点部分の手前で町道側に人がいないことを確認した後、向きを変えたが、後方を確認しないで町道へ後退で入っていった。この時、町道部分は立入禁止にはなっておらず、また誘導者もいなかった。
このとき、被災者は、表土用の土の上に雪や雨が掛かるのを防ぐためにシートをかぶせる作業を行っており、なんらかの理由により町道部分に出たところ、後退してきたクローラダンプにひかれた。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 クローラダンプの作業計画を立てていたにもかかわらず、関係労働者に周知していなかったこと
2 クローラダンプに接触するおそれのある個所への立入禁止措置をとっていなかったこと
3 クローラダンプの運転手に対し誘導員を配置していなかったこと
4 クローラダンプの運転手が後方の安全確認を十分に行わなかったこと、及び被災者がバックしてきたクローラダンプに気が付かなかったこと
5 車両系荷役運搬機械を用いる作業計画が、労働者へ周知されていなかったこと
6 同一作業現場に複数の会社の労働者が出入りしているにもかかわらず、全体の管理をする現場代理人が適切な指示をしていなかったこと
7 下請け会社は、元請会社の作業計画を全く知らされておらず、また調べようとしていなかったこと
8 元請会社が現場への新規入場者教育を行っていなかったこと。
対策
この災害は、道路改良工事において、掘削部分から盛り土部分にクローラダンプで土を運ぶ作業を行っていたオペレーターがクローラダンプを後方確認せずに後退させたところ、労働者をひいてしまったものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 現場監督・管理人が作業全体の管理を徹底すること。特に、複数企業の労働者が出入りしている現場では、企業間の連携や作業の調整にも注意を注ぐこと。
2 1と関連して、作業や安全に関わる指揮・命令系統をはっきりさせること。
3 クローラダンプ等の車両系荷役機械、その他大型の作業機械の使用にあたっては、事前にその作業計画を立て、関係労働者に周知させること。
4 クローラダンプ等の車両系荷役機械、その他大型の作業車両に接触するおそれのある個所について立入禁止措置をとるか、見張りを配置すること。また、運転に対しては、誘導員を配置すること。
5 今回の事例のような、荷役用機械とそのオペレーターを含めた“オペ付きリース”では、元請会社が責任を持って新規入場者安全教育などの教育や安全管理の指導を行うこと。