農業集落排水工事現場において、掘削構内に崩れ落ちた土砂の除去作業中に、掘削法面が崩壊
業種 | 上下水道工事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 地山、岩石 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | 土砂崩壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) | 危険場所に近づく |
No.100050
発生状況
この災害は、農業集落排水工事現場において、掘削溝内の水道管破裂によって構内に流れ込んだ土砂の除去作業中に発生したものである。当日は、マンホールから道路沿いに管2本分約8mを車両系掘削機械を使用して掘削し、下水管を設置する作業を行う予定であった。地表より70cm位の深さの位置に埋設されていた既設水道管が、水道管上部西側の土砂崩壊により切断されたため、土止め支保工(シーティングプレート)を法面の崩壊防止のために設置したが、掘削溝内およびシーティングプレート内側に土砂が流れ込んだため、土砂の除去が必要であった。このため、3人の作業者が掘削溝内で、土砂の除去作業を行っていた。作業を始めてから5分位が経過した頃、溝の上で作業をしていた作業員が掘削溝の法面にひび割れを発見し、構内で作業していた3名の作業員に注意した。3名とも危険を感じ、逃げようとしたが、道路のアスファルト部分を残したまま法面が崩壊した。このため、シーティングプレート内側で土砂の除去作業を行っていた被災者は全身が土砂に埋まり、ヘルメットの上部だけが見える状態であった。約5分後に被災者を救出したが、被災者はすでに窒息により死亡していた。原因
この災害は、農業集落排水工事現場において、掘削溝内の水道管破裂によって構内に流れ込んだ土砂の除去作業中に発生したものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。1 地山の崩壊を防止するための確実な措置は講じられていなかったこと。
2 地山の崩壊防止のための措置が講じられていない掘削溝内で作業したこと。
3 地山の掘削および土止め支保工作業主任者による作業方法の決定・直接指揮等、その職務が遂行されずに、作業が進められたこと。
4 適切な作業計画が立てられていなかったこと。
5 現場代理人・作業主任者等の直接の作業指示がないにもかかわらず、作業員の自己判断による作業がされたこと。
6 掘削溝の法面は非常に崩れやすい状態となっていたこと。
対策
この災害は、農業集落排水工事現場において、掘削溝内の水道管破裂によって構内に流れ込んだ土砂の除去作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 地山が崩壊する危険のある掘削溝内等には、労働者を立ち入らせないこと。地山の崩壊等のおそれのある場所で作業を行う場合には、あらかじめ土止め支保工等を設け、地山の崩壊防止措置を講じたうえで作業を行わせること。
2 地山の掘削作業および土止め支保工の設置作業等については、選任された、作業主任者の直接指示等に従い、作業員の自己判断による作業をさせないこと。
3 シーティングプレートによる土止め支保工の設置については、あらかじめ設置箇所、設置手順等を定めた明確な設置計画書を作成すること。
4 水道管破裂等のトラブル発生に伴う通常外の作業を行う場合には、この作業に対する作業計画を作成し、現場代理人・作業主任者等の直接指示に従って作業を実施すること。