機械を搬出するためジャッキアップしたところ機械が倒れ下敷きとなる
業種 | 一般貨物自動車運送業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 機械装置 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100045
発生状況
この災害は、工場の製造機械を他の工場へ分割して移送する作業において、機械を小型の台車に載せるため、ジャッキアップをしているとき機械が倒れたものである。災害発生当日の機械の運搬作業は、運送業を専門とする会社の労働者4名と下請けの労働者2名の6名で行われることになり、搬出のため5分割された機械のうち4個は、すでに小型の台車(チルローラー)に載せてフォークリフトで牽引し、移動式クレーンでトラックに載せられていた。
次いで、5個目の搬出を行うことになり、2名は移動式クレーンの玉掛けを行い、4名が機械を搬出する作業にとりかかった。
この機械は、バランスのとりにくい形状をしていたので、片側に2台のチルローラーを取り付けることにして、約10cmジャッキアップし、敷板を機械の下に入れた後ジャッキダウンしようとしたときに機械がバランスを崩して倒れてきたため、バランスの状況を監視していた下請けの労働者が下敷きとなった。被災者は、直ちに病院に移送されたが肺挫傷等により死亡した。
原因
この災害は、工場の製造機械を他の工場へ分割して移送する作業で、機械を小型の台車に載せるため、ジャッキアップをしているとき機械が倒れたものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。1 大型で重量があり、かつ、偏荷重となる機械を搬出する作業において、機械の転倒を防止する措置を講じていなかったこと
2 機械の重心の位置から外れた個所にジャッキを据え付け、そのままジャッキアップをしたこと
3 機械が転倒することにより、労働者に危険を及ぼすおそれのある個所に、労働者を立ち入らせていたこと
4 重量物運搬についての作業手順が、関係者に徹底されていなかったこと
対策
この災害は、工場の製造機械を他の工場へ分割して移送する作業で、機械を小型の台車に載せるため、ジャッキアップをしているとき機械が倒れたものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 重心の不安定な荷を運搬するときには、転倒防止のための措置を講じてから作業を実施すること
2 荷の転倒等により労働者に危険を及ぼす箇所には、労働者を立ち入らせないこと
3 形状が複雑な荷の重心の判定方法について関係労働者に教育すること
4 重量物・偏荷重となる荷の運搬についての作業手順を明確に定め、関係者に徹底しておくこと
5 作業指揮者の職務を明確にしておき、作業指揮を取らせること