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労働災害事例

伐倒木がかかり木となり、その木も倒れて根元にあった岩石が作業者を直撃

伐倒木がかかり木となり、その木も倒れて根元にあった岩石が作業者を直撃
業種 道路建設工事業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 地山、岩石
災害の種類(事故の型) 飛来、落下
建設業のみ 工事の種類 道路建設工事
災害の種類 岩石の崩壊(上部から石が落ちた)
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 法面の欠陥
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.100043

発生状況

 この災害は、林道の拡幅工事で山側斜面の立木の伐採作業中に発生したものである。
 当日は、平均35度の傾斜地にある雑木林の伐採を4名で行うことになり、午前8時10分頃から作業が開始されたが、被災者と工事部長はチェ−ンソ−による伐採作業を担当した。伐採は、斜面の下から上方に向かって行うことになり、二人は分かれて作業を開始した。午前8時40分頃、工事部長は14本目の立木を倒す直前に、左斜め下にいた被災者に「倒れる」という合図をしたので、被災者は作業を止めて木が倒れる様子を見ていた。
 ところが倒した木は、左隣りの立木にかかり木となり、倒した木はこの立木とともに根元から倒れた。
 次いで、二人が、作業を開始しようと体の向きを変えたとき、倒れた木にかかられて根倒れした木の根元の岩石が転がりだした。
 この音に気づいた工事部長は「逃げろ」と被災者に声をかけたが間に合わず、被災者は転がってきた岩石に胸部を直撃されて死亡した。

原因

 この災害の原因としては、次のことが考えられる。
1 伐採を同じ斜面の近接した場所で行っていたこと
2 下方向に倒木せざるを得なかったこと
3 かかり木になっても大丈夫と判断したこと
4 斜面の地質が砂れき土で崩れやすい状況にあったこと
5 伐採作業者に対し安全教育を十分に実施していなかったこと

対策

 この災害は、林道の拡幅工事で山側斜面の立木の伐採作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 伐採区域の事前調査を行ない、作業計画を作成すること
2 山割りを明確に行うこと
3 立入禁止区域を明示すること
4 倒木は安全な方向を選定すること
5 伐倒時の退避場所をあらかじめ選定すること
6 伐倒時の合図を定めること
7 チェーンソー作業者には特別教育を実施すること