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労働災害事例

移動式クレーンジブ分解時における狭圧災害

移動式クレーンジブ分解時における狭圧災害
業種 建設業
事業場規模 16〜29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) クレーン
災害の種類(事故の型) 飛来、落下
建設業のみ 工事の種類 橋梁建設工事
災害の種類 移動式クレーン
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 防護・安全装置がない
発生要因(人) 省略行為
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.100031

発生状況

 この災害は、作業を終えたつり上げ荷重360トンの移動式クレーンの補助ジブを分解するため、2本目と3本目のジブを繋いだピンをハンマーでたたいて抜いていたときに、ピンが急に外れてジブが落下し、作業者がジブに挟まれて死亡したものである。
 ジブのピンを抜く作業は、最初このクレーンを操作していた社長が行っていたが、ピンがなかなか抜けなかったため、待機していた作業者が交代して作業を行っていたところピンが急に外れ、同時にジブが落下して挟圧されて被災した。災害発生後、直ちに近くに待機していた別の移動式クレーンでジブをつり上げ、被災者を救出して病院に収容したが、胸部圧迫で間もなく死亡した。
 ピンを抜く際に、補助ジブの落下を防止するため、ペンダントワイヤで補助ジブをつるように取扱説明書に示されていたが、使用しておらず、独自の判断でジブの分解を行っていた。また、社長以外の作業に習熟していない者が作業に従事していた。

原因

 この災害の原因としては、次のことが考えられる。
1 ジブの分解作業を行う際に、ジブが落下する危険があるので、ジブ落下防止用のペンダントワイヤを取付けるように取扱説明書に記されていたが、取付けずに作業を行っていたこと
2 ジブを他のクレーンでつりながら分解する、ジブを安全ブロックに載せて分解する落下の危険のあるジブの下部の位置をさけて、ピンの抜き取り作業を行う等の危険防止対策を講じていなかったこと
3 当該クレーンは大型のものであって、その操作にはかなりの技量と経験を必要としたが、社長以外の作業者は分解作業に不慣れであり、作業指揮者である社長においても他の作業者に分解手順に従った適切な指揮を行わなかったこと

対策

 この災害は、ピンで繋がれた移動式クレーンの補助ジブを分解するため、ピンをハンマーでたたいていた際にピンが急に外れ、同時にジブが落下して作業者が挟圧されたものである。同種の災害を防止するためには、以下のような対策の徹底が必要である。
1 取扱い説明書に記載された補助ジブ分解の方法を良く熟知し、クレーンジブ落下防止用のペンダントワイヤーを確実に取り付けてから、ジブ分解作業を行うこと。
2 ペンダントワイヤーの取付けには補助ジブを約4m登る必要があり、高所作業になることから、墜落防止用の装置を備えて作業を行うこと。
3 ペンダントロープを使用しない場合には、補助ジブを安全ブロックに載せて分解する、あるいは補助ジブを他のクレーンでつりながら分解する等、ジブの落下を防止するための措置を講じること。
4 補助ジブの分解は、決められた作業手順に従い、作業指揮者の適切な指揮の下で行うこと。
5 ピンの抜き取り時は、補助ジブが落下する危険性があるジブの下部で作業を行わないこと。
6 補助ジブの組立て・分解作業は、十分に安全教育を受け、かつクレーン作業に精通している作業者に行わせること。