コンクリート擁護工事で、ケーブルクレーンのバケットから墜落
業種 | 土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 土木工事 | ||||
災害の種類 | クレーン等(エレベータ、リフトを除く)から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業箇所の間隔空間の不足 | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 機械、装置等を指定外の方法で使う |
No.100028
発生状況
この災害は、つり上げ荷重0.8トンのケーブルクレーンを用いて5人の作業者でコンクリート擁壁を設置する工事を行っていた際に、1名の作業者がケーブルクレーンのバケットに乗り込みコンクリートを窪みに埋める作業をしていたところ、バケットから落下しコンクリート吹付け法面を約42m転落して死亡したものである。作業者Aは、高さの関係から作業台なしには作業できない箇所があったため、生コンクリートの輸送に使用していたバケットをケーブルクレーンでつり、Aがバケットに乗り込んで自らがラジコンでクレーンを操作しながら擁壁面の窪みの補修作業を行っていた。しかし、バケットが揺れるので、下の作業床上で足場の解体作業を行っていた作業者Bにバケットの揺れが止まるまでロープを保持するように依頼した。揺れが止まったのでBはもとの作業に戻り、Aも作業を続けていた。午後3時頃Aは誤ってバケットから墜落し、法面を約42m転落して死亡した。
原因
この災害の災害原因としては、次のことが考えられる。1 現場責任者であるAの作業領域には、作業台やはしごを使用しなければ作業ができない高さの箇所があったが、それらを使用しないで自らケーブルクレーンの生コン運搬用のバケットに搭乗して作業を行ったこと
2 ケーブルクレーンの運転に係る安全教育が行われていなかったこと
対策
この災害は、コンクリート擁壁面を補修するため、ケーブルクレーンのバケットに乗り込んでいた作業者がバケットから転落し法面を約42m滑落して死亡したものである。同種の災害を防止するためには、以下のような対策が必要である。1 搭乗が禁止されているケーブルクレーンのバケットに、絶対に搭乗させないこと。
2 作業箇所の高低に応じて、作業台、はしご等の安全な設備を使用すること。
3 作業開始前に綿密な打ち合わせを行い、場当り的な作業は行わないようにすること。
4 危険な作業の禁止、安全帯の使用の厳守等作業の基本的なルールについて、現場責任者、作業者等のレベルに応じた安全教育を実施すること。
5 1次下請けを含む元請けは、現場の巡視を励行する等下請けに対する指示・安全指導を確実に行うこと。
6 高齢作業者については、当人の運動能力、健康状態等を考慮し、適正な作業に配置するよう努めること。