ブドウ園のビニールハウスの桶取付作業中転落し、トタン板ロールが激突
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | はしご等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 脚立、うまから墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 構成材料の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100019
発生状況
この災害は、ぶどう園のビニールハウスの組立て工事で、組立てが終了した棟間に樋を設置する作業中に発生したものである。災害発生当日の午前8時30分頃、現場監督と6名(うち3名は雑役作業)の作業員が現地へ集合し、樋にするためのトタン板を敷設する作業に取りかかった。
作業内容は、幅40cm、長さ49m、重さ83.5kgのトタン板をロール状に巻いたものを2人でロールの中にパイプ(長さ2.5m、重量6kg)を通してハウスの樋の位置(高さ2m)まで脚立に乗って持ち上げて、1人がロールの端を引き延ばしていく作業、他の者が敷設したトタン板を金具で固定していく作業であった。
5本の敷設作業が順調(1本の樋の敷設に15〜20分を要す)に進み、6本目の敷設を行うため、被災者と他の1人がパイプを肩にかつぎ脚立(高さ195cm)に昇り始めた。被災者が、脚立の高さ1.2mの箇所まで昇った時に脚立がぐらつき、被災者は脚立から足を踏み外して地面に転倒した。
その被災者の胸にトタン板のロールが落ちてきて、心臓破裂により死亡した。
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。1 脚立の設置場所が不安定であったこと
この作業は、ぶどう畑の中で行われていたことから、使用した脚立は畑の砂地に立てられており、脚立は足元が不安定な状態であった。
そのため、被災者が脚立の踏み面に足をかけたときにバランスが崩れ、脚立が傾き被災者が脚立の上から転倒して落下したものと考えられる。
2 二人作業で呼吸が合わなかったこと
この作業は、トタン板をロールに巻いたものの中にパイプを通し、2人が同時にパイプを肩にかつぎながら脚立を昇っていくものであるが、二人の呼吸が合わなかったため、被災者の方に荷重が多くかかったことも考えられる。
3 衝撃荷重がかかったこと
死亡の直接原因としては、転倒した被災者の胸の上に重さ83.5kgのトタンのロールが落ちて衝撃荷重がかかったものと推定される。
対策
この災害は、ぶどう園のビニールハウスを設置する工事で、棟間に樋を設置する作業中に発生したものであるが、同種災害防止のためには次のような対策が必要である。1 安全な足場の確保
地面が砂地等の不安定な場所では、三脚等の脚立は使用しないでローリングタワーのような安全な足場等を使用すること。
なお、その場合でも浮動沈下しないように敷鉄板などを行うことが必要である。
2 重量物は機械で荷揚げすること
重量物を高所に揚げる場合は、移動式クレーン等を使用することが望ましい。
3 作業手順を変更すること
地面にトタン板を置いて引き延ばし、樋を取付けるような作業手順に変更することが望ましい。
また、作業マニュアルを作成し、それにより作業を行わせることが必要である。
4 作業監視を行うこと
現場監督者は、重量物を上げる等危険な作業を行う場合は、作業の監視など直接指揮を行うことが必要である。