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労働災害事例

下水処理施設建設工事で、足場の筋かいに立て掛けていたはしごを昇降中に墜落

下水処理施設建設工事で、足場の筋かいに立て掛けていたはしごを昇降中に墜落
業種 上下水道工事業
事業場規模 16~29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) はしご等
災害の種類(事故の型) 墜落、転落
建設業のみ 工事の種類 上下水道工事
災害の種類 はしごから墜落
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 機械装置を不安定な状態にして放置する

No.100011

発生状況

 この災害は、下水処理施設建設工事で、最終沈澱池の内部に組んだ足場の筋かいに立て掛けていたはしごの昇降中に発生したものである。
1 この工事は、オキシデーションディッチ(汚泥分解水槽)、機械室、最終沈澱池、汚泥ポンプ室及び階段室を施工するものであり、発注者(設計管理)―元請(施工管理)―1次下請(施工)という発注・請負形態のものであった。これらの一連の工事は、1月22日から順次開始され、9月16日には、ほぼ躯(く)体工事が完了し、その後は場内の整理、器具の調整等の雑作業に入っていた。
2 11月7日から最終沈澱地内の内部側溝への越流板の取付け作業、管理用タラップの取付け作業、内部の雨水の汲み上げ作業等が行われていた。特に、11月20日午後3時から始まった雨水の汲み上げ作業では、既に組み上げてあった枠組足場の筋かいにはしごを固定しない状態で約67度の角度で立て掛けて、作業や昇降に使用していた。
3 災害発生当日、午後3時頃、元請の現場代理人は、1次下請の労働者である被災者に対し、管理用のタラップの取付け方法を教え、最終沈澱池内部の壁面に空けた穴にタラップを取付けるよう指示した。午後3時10分頃、現場に戻ってみると、はしごが倒れており、被災者が底部に倒れているのを発見した。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 はしごの設置について、安全な据付方法を採用していなかったこと。特に、はしごの上部及び脚部の固定を行っていなかったことが、はしごの滑動を引き起し、被災者が転落に至ったこと。
2 被災者は、極めて不安定な状態ではしごの昇降を行ったため、体をはしごに載せたとき、はしごの脚部の滑動とともに、体のバランスを崩し、転落したものと推定されること。
3 元請の現場代理人がはしごの設置状況が不安定な状況にあることをある程度推測していたにも拘わらず、具体的にはしごを点検し、被災者に具体的な固定方法を指示し、かつ、その結果を確認していなかったこと。
4 被災者は、現場代理人が指示したとおりに頭部を保護するためのヘルメットや安全帯を着用していなかったこと。

対策

 この災害は、枠組足場の筋かいに立て掛けていたはしごの昇降中に発生したものであるが同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 はしごを昇降設備として設置する場合には、その長さや昇降時の安定性を考慮し、はしごの上部、足場との接点部及び脚部を適切、かつ、堅固に固定すること。
2 例え、準備作業、短時間又は臨時の作業、後片付け作業などであっても、安全な作業方法について、元請の現場代理人と一次下請の工事責任者との間できちんとした話し合いを行い、作業指示書を作成し、それに基づいて作業員に作業を行わせること。
3 枠組足場上での作業、はしごの昇降中であっても、作業員に対し、保護帽及び安全帯の着用及び使用の励行を徹底させること。
4 毎日の作業開始前の安全ミーティングを励行し、危険箇所の点検方法、危険な作業の場合の安全作業のポイントについて、危険予知訓練、安全教育を作業員に徹底すること。