紙製造工場の抄紙室において補修作業中、紙粉が爆発
業種 | パルプ・紙製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | ロール機(印刷ロール機を除く。) | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.1055
発生状況
この災害は、製紙工場において、ティッシュペーパーの抄紙及び中間製品のロールの巻き取り作業中に発生したものである。被災者は、主任から抄紙機のドライヤーから原紙を剥がす刃の取替えを行なうよう指示を受け、ドライヤーから原紙を切断する刃を操作するためのスイッチを入れて、空気圧でシリンダを動かし原紙を切断した。
次に、抄紙機のドライヤーから原紙を剥がす刃を操作するためのスイッチを入れようとした際、抄紙機のドライヤー出口から巻き取りロールまでの間の集じん装置系統内の紙粉に何らかの原因により点火したため、紙粉爆発が発生し、機械操作中の被災者が爆風と熱風によって被災した。
また、室内の浮遊粒子群(粉じん雲)に燃焼が伝ぱし、爆発が抄紙室全体にわたって拡大したものである。
原因
この災害は、家庭用のトイレットペーパー、ティッシュペーパー等の製造を行っている事業場の抄紙室において発生したものであるが、その原因としては次のことが考えられる。1 発火原因 | |
(1) 堆積する紙粉による低温発火 (2) ドライヤーとGドクターの接触火花 (3) 集じん装置のノズル、チェーンの摩擦火花 (4) 静電気帯電による火花 |
室内の湿度は、局部的に15%を下回っており、集じん装置は、吸引した空気の大部分を再び放出する構造であった。
また、集じん装置のダクトに粉じんが堆積していることから、集じん方法及び能力については不十分であった。
対策
この災害は、家庭用のトイレットペーパー、ティッシュペーパー等を製造する事業場で発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 機械設備の改善
ケーブル、モーター上の粉じん堆積の防止、集じん装置内の金属摩擦による火花の発生防止等
2 抄紙室の紙粉除去対策等
集じん装置の能力の再設計等、清掃の徹底等
3 抄紙室内の温度・湿度等の管理
4 安全管理体制の整備
5 安全管理規定、作業手順等の整備
6 安全衛生教育の徹底