職場のあんぜんサイト

  1. ホーム
  2. 労働災害事例
  3. 労働災害事例(検索結果詳細)

労働災害事例

ワニス製造工程において静電気により引火爆発

ワニス製造工程において静電気により引火爆発
業種 塗料製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 爆発
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.1025

発生状況

本災害は、ワニス製造工程において、溶解用タンク内のメチルエチルケトンにエポキシ樹脂を投入する作業を行っていたところ、何らかの静電気により、引火性の高いメチルエチルケトンが引火、爆発し、投入作業を行っていた作業者が被災したものである。
 災害の発生した事業場では、事業場内の危険物製造所において各種の塗料、接着剤を製造しており、災害発生当日は、ワニスの製造を行っていた。
 作業は、溶解用タンク(容量1,000l)において、溶剤のメチルエチルケトンを圧送で入れ、そこに投入口から固形エポキシ樹脂を投入して、溶解用タンク内の撹拌機により混合・溶解させ、品質検査の後、石油缶に小分けするものである。
 災害発生当日、製造係長より製造部員3名に対して、作業の役割分担及び作業方法について指示が行われ、作業が開始された。
 まず、製造部員AとBが簡易リフトを用いて合計20袋の固形エポキシ樹脂(袋はクラフトペーパーの3層構造で、内側はポリエチレン処理)を製造所2階の溶解用タンクの投入口の付近まで運び、各袋を開封した。製造部員Cは製造所の屋外にて材料の運搬等を行っていた。
 製造係長は製造所の1階でメチルエチルケトンの圧送を担当しており、所定の400lまでメチルエチルケトンが入った時点で、スイッチを押して溶解用タンク内の撹拌機を作動させるとともに、2階のAとBに対し、エポキシ樹脂の投入を開始するよう指示した。
 AとBは1袋ずつエポキシ樹脂を投入し、Aが2袋目を投入し、袋内にわずかに残っているエポキシ樹脂を振り落とそうとして袋を振った際、投入口にて爆発が発生し、Aは火傷を負った。この時Bは投入の準備のために溶解用タンクに背を向けて作業していたため、被災せずにすんだ。

原因

(1) 溶解用タンクのモーター及びタンク付近の換気扇、照明器具は防爆構造となっていたが、溶解用タンクそのものには接地を施す等の静電気を除去するための措置が講じられていなかったこと。
(2) 作業者に静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴を着用させていなかったこと。
(3) 当該製造工程に係る作業規程を作成していなかったこと。
(4) 取り扱う物質の危険性、取扱い上の注意等について作業者に対して十分な教育が行われていなかったこと。

対策

(1) 溶解用タンクに接地を施す等の静電気を除去するための措置を講じること。
(2) 作業者に静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴を着用させること。
(3) 静電気が発生しにくくなるように溶解用タンクへの投入作業の方法を改善すること。
(4) 化学設備等を使用して作業を行うときは、爆発・火災を防止するための作業規程を作成し、作業を行うこと。
(5) 取り扱う物質の危険性、取扱い上の注意等について作業者に対して十分な教育を行うこと。