地下室において内燃機関より発生した一酸化炭素による中毒
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.1017
発生状況
本災害は、スーパーマーケットの地下室床のコンクリート製の敷板の除去工事を行う際、コンクリートカッターを使用していたところ、作業者1名がコンクリートカッターの内燃機関(ガソリンエンジン)の排気ガスに含まれていた一酸化炭素にばく露し、中毒となったものである。発注者は当初、事業所に対し、スーパーマーケットの地下室のゴミの搬出作業を依頼していた。事業所はこれを請け負い、3名に当該作業を指示していたが、さらに発注者から作業を実施した作業者Aに、地下室の床面のコンクリート製の敷き板(以下「平板」という)の撤去を行ってもらいたい旨依頼があり、作業者は事業所と相談のうえ依頼を受注し、午前中の作業終了後に平板撤去の作業を行うこととなった。事業所からは通常の平板撤去と同様にノミとバールを使用することが指示され、作業者A、B2名で開始した。
現場は2部屋ある地下室のうち奥の部屋で、そこに作業灯1個とノミ、バールを持ち込み作業を開始した。奥の部屋には平板が8×13列で合計104個設置されていたが、平板と平板の間の目地がモルタルで埋められているために最初の2枚を撤去するのに相当手間を要した。なお、地下室全体の面積は77.4m2であった。
2枚撤去したところで、作業の効率化のため作業者間で相談し、コンクリートカッターを使用することとし、Aがリース会社よりコンクリートカッターを借り受けてきた。コンクリートカッターの原動機は空冷4サイクルのガソリンエンジンで総排気量183ccのものである。
Aがカッターのハンドル操作を行い、Bがカッターブレードの冷却用の水の補給などの補助作業を行う形で進められた。作業開始より約30分後、3枚ほど目地を切断したとき、ハンドル操作を行っていたAが突然作業中の部屋から出ていった。
Bはこれを用足しに行ったものと考え、ハンドル操作の作業を引き継いで行った。2本の目地を切断したところ、カッターの車輪が脱落したため、これを元に戻そうとしたが力が入らないことに気付いた。
Bはエンジンを停止し、部屋を出て地上へ戻り、しばらくして、先に部屋を出たAが見当たらないことに気づき、再び地下室に戻ってみたところ、Aが地下室入口付近で倒れているのを発見し、事業所に通報した。倒れたAは救助され、病院に運ばれ、一酸化炭素中毒と診断された。
原因
(1) 換気を行わないで、コンクリートカッターを地下室で使用したため、排気ガスに含まれる一酸化炭素が地下室に滞留したこと。(2) 内燃機関による一酸化炭素発生の可能性に対する作業者の知識が不十分であったこと。
(3) 作業手順や方法が撤底されていなかったこと。
(4) 事業場における安全衛生教育が不十分であったこと。
対策
(1) 地下室のように換気の不十分な場所においては、内燃機関でなく電動のものを使用するとともにやむを得ず内燃機関を使用する場合には、十分に換気を行って使用すること。(2) 内燃機関を備えた機器を使用する際には、一酸化炭素による中毒の危険性について十分な教育を行うこと。
(3) 作業手順や方法を撤底すること。
(4) 普段より事業場における安全衛生教育を充実させること。