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労働災害事例

道路舗装工事における半剛性舗装材による薬傷

道路舗装工事における半剛性舗装材による薬傷
業種 その他の土木工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
建設業のみ 工事の種類 その他の土木工事
災害の種類 中毒
被害者数
死亡者数:− 休業者数:4人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.1011

発生状況

工事は、半剛性舗装やサルビアシム舗装とも呼ばれている半たわみ性舗装工法による路面強化のための舗装工事であった。
 この工法に用いられた半剛性舗装材には、普通ポルトランドセメント60%(酸化マグネシウム2.0%、無水硫酸2.3%含有)と速硬材20%(二酸化ケイ素4.6%、酸化アルミニウム23.6%、酸化カルシウム43.4%、無水硫酸18.7%含有)等が含まれていた。
 この日は、午後8時から15名でアスファルト舗装工事を始めており、翌日午前0時頃から休憩に入り、午前1時から半たわみ性舗装工事を始めた。15名のうち被災者4名を含む10名は、
[1] 4トントラック車上でグラウトミキサーによる半剛性舗装材と水との混練作業、
[2] その混練作業者へ半剛性舗装材の手渡し作業、
[3] グラウトミキサーのホースから道路舗装面への半剛性舗装材混練液の注入作業、
[4] プレートやゴムレイキを使用した作業、
[5] 材料ストック場から4トントラック車へのフォークリフトを使用した半剛性舗装材の運搬作業、
[6] 散水車から4トントラック車上のドラム缶への水の補給作業、
[7] 4トントラック車及び散水車の運転作業、
 という工程を交替して行っていた。グラウトミキサーは、1台に2槽あるため交互に混練作業を行い、継続して注入作業をしていた。
 半剛性舗装材と水との混練作業は、
[1] グラウトミキサーを回転させながらドラム缶から10lバケツで10杯(100l)の水をグラウトミキサーに入れ(水がはねるようにグラウトミキサーから出てきた。)
[2] 半剛性舗装材の袋を切ってグラウトミキサーの中に8袋(200kg)入れ(入れ終わる頃には作業服の肩から下、膝から上ぐらいまでが水玉模様のような濡れ方であった。)
[3] グラウトミキサーに水を入れてから半剛性舗装材を入れ終わるまでグラウトミキサーの蓋は開けたままで、入れ終わると蓋を閉め、しばらくして蓋を開けて半剛性舗装材の状態を確認し、
[4] 混練後、グラウトミキサーのホースから道路舗装面へ半剛性舗装材混練液の注入を行う。
 というものであった。
 その作業を始めてから約2時間後、半剛性舗装材と水との混練作業を行っていた3名が体のかゆみを訴えたので、他の者と交替させて作業を続けた。午前8時になると、3名のうち2名が痛さを伴うかゆみを訴えたので、帰宅させた。この作業は午前9時30分に終了したが、翌朝、炎症のひどい4名が、病院で治療を受けた。

原因

(1) 半剛性舗装材と水との混練作業において、グラウトミキサーの蓋を開けたまま作業を続けたこと。
(2) 半剛性舗装材と水との混練作業等を行うに際し、不浸透性の保護手袋、保護衣等を着用していなかったこと。
(3) 作業者が半剛性舗装材の有害性について十分に知らなかったこと。

対策

(1) 半剛性舗装材の取扱い作業前に、作業者に対して皮膚障害の危険性等について教育すること。
(2) 半剛性舗装材の混練作業においてグラウトミキサーからの飛散を極力抑える措置を講じること。
(3) 半剛性舗装材を取り扱う作業には、不浸透性の保護衣、保護手袋、保護眼鏡等を着用させること。