排水管改修工事において排気ガスで一酸化炭素中毒
業種 | 建築設備工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 建築設備工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.980
発生状況
被災者Aの所属する甲社は、主に建設工事において管工事を行う設備工事会社であった。災害の発生した工事は、乙社の発注で、選卵場である木造倉庫(奥行き5.2m、幅17.9m)内の厚さ10cmコンクリート床を電動ピックハンマーではぎとり、排水管を埋めて、集水溝を作り、コンクリートで埋め戻すという作業であった。災害発生の当日、甲社の専務取締役B、作業者A、C及びD、の4人と乙社の担当者とで打ち合せを行った後、甲社の4人で工事に取りかかった。まもなくBは帰社し、C及びDは甲社へ工事用の資材を取りに戻った。また、Aはコンクリートカッターを使用して切断作業を続けた。なお、作業の間、出入り用ドア1カ所(倉庫全体見取図の[1]のドア)を開放していた。
Aは、作業を続けていたが次第に気分が悪くなったため、屋外へ深呼吸をしに出た。その時、コンクリートカッターのスイッチは切られていなかった。数分後、切断作業が残っていたため、作業に戻ろうと倉庫内に入ったところ意識がなくなった。C及びDが甲社から戻ってきてから、Aが作業場の台所に寄りかかって倒れているのを発見した。すぐにCが甲社に連絡を取り、近くの病院へ搬入した。
被災者Aが使用していたコンクリートカッターの使用状況については、屋内作業で通常電動コンクリートカッターを使用していたが、切断面積が広い場合や強い力が必要である場合は内燃機関付きのコンクリートカッターを使用しており、これの使用にあたっては注水を行いながら使用していたものである。
災害発生現場の気積は、44.2m3(縦5.2m、横3.4m、高さ2.5m)であり、作業中開放されていたドアの面積は、1.36m2(横0.8m、高さ1.7m)であったが、直接外気に接している部分はなく、隣接する倉庫のシャッター(横3.0m、高さ2.5m、面積7.5cm2)を通して外気に開放されていた。
また、送風機等の換気装置は使用していなかった。
原因
[1] 通風換気の不十分な場所で内燃機関付きのコンクリートカッターを使用して作業を行ったことから、その排気ガスが室内に充満したこと。[2] 作業場はドアが1カ所開放されていたが、外気とは直接的に接していないため、換気通風が不十分であったこと。
[3] 就業時や作業者の作業内容を変更した時に、作業者に対し、業務の関係で発生し得る疾病の原因やその予防について、十分な安全衛生教育を行っていなかったこと。
対策
[1] 通風換気が不十分な屋内作業所においては、電気カッター等内燃機関を有しない工具を使用すること。[2] やむを得ず内燃機関を有する工具を使用する場合、送風機等の換気装置による換気を行うこと。
[3] 作業者に十分な安全衛生教育を実施すること。