下水管清掃作業中に酸欠災害
業種 | ビルメンテナンス業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.969
発生状況
本災害は、下水管の清掃作業を行っていた作業者が、汚泥から発生した硫化水素を吸い込んで中毒となったものである。災害発生当日は午後1時30分、作業を開始した。この日の作業としては、まず、ホースの先に船型のアイアンノズルをつけたものをマンホール[2]から投げ込んで、下水管の中を上流のマンホール[1]まで通す。次に、アイアンノズルから高圧の水を噴射させながら引き戻し、汚泥を下流側に引き寄せて、汚泥車でこれを吸い取るという予定であった。
まず、ホースを、下水管の中でマンホール[1]に向けてほぼいっぱいの約120m伸ばし、そこから汚泥を引き寄せながら約10mまきもどしたところ、途中でひっかかり動かなくなった。
そこで、ホースのひっかかりをはずすため、副班長のAが、マンホール[3]のふたを開けさせ、このなかへ入って行った。そして、約1mのバールでホースをゆすっていたところ、気分が悪くなり、外へ出ようとタラップを握ったが気を失って倒れた。
これを見ていたB、Cが助けに入り、Aをかかえあげたが、B、Cも、ともに気を失って倒れた。
連絡を受けたDが救急車を呼んだあと、Eと共に続いて救助のためマンホールに入り、3人をかかえたが、息苦しくなり同じく気を失った。しばらくして、救急車が到着し被災者5名を救出した。
なお、会社には、送風機、送風用ダクト、空気ボンベ、空気呼吸器等が常備してあったが、作業者が6名以下の場合は、資材を持つ人手が足りないため、災害発生当日を含めて現場に持っていっていなかった。
原因
1 空気中の酸素の濃度を18%以上、かつ硫化水素の濃度を10ppm以下に保つために必要な換気を行っていなかったこと。2 作業開始前に、当該作業場における空気中の酸素及び硫化水素の濃度を測定していないこと。
3 酸素欠乏等の場所において救出作業を行う場合に、空気呼吸器を使用させるなど2次災害防止対策を講じなかったこと。
4 第2種酸素欠乏危険作業主任者を選任していなかったこと。
5 第2種酸素欠乏危険作業に係る業務に就く作業者に対し、事故の場合の退避及び救急その生の方法等特別の教育を行っていなかったこと。
6 管理監督者の酸素欠乏危険作業等に対する認識不足
対策
1 空気中の酸素の濃度を18%以上、かつ硫化水素の濃度を10ppm以下に保つために必要な換気を行うこと。2 作業開始前に、当該作業場における空気中の酸素及び硫化水素の濃度を測定すること。
3 酸素欠乏症等にかかった作業者を酸素欠乏等の場等において救出する場合に、救出作業を行う作業者に空気呼吸等を使用させること。
4 第2種酸素欠乏危険作業主任者を選任し、作業に従事する作業者が酸素欠乏の空気を吸入しないように作業の方法を決定し、作業者を指揮する等の職務を行わせること。
5 第2種酸素欠乏危険作業に係る業務に就く作業者に対し、特別教育を実施し、酸素欠乏症及び硫化水素中毒に関する知識の不足から生ずる事故を防止すること。
6 管理監督者に対して酸素欠乏症等防止を含めた安全衛生の研修の実施すること。