火力発電所構内において汚泥除去作業中に発生した硫化水素中毒
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.965
発生状況
本災害は、火力発電所構内の循環水受入槽内において汚泥の除去作業を行っていた作業者が、汚泥から発生した硫化水素を吸い込んで中毒となったものである。災害発生の前日、ポンプで循環水受入槽(縦21m×横10m×深さ3.9m(西側)4.1m(東側)から汚水を排出したが、排出されずに残った汚泥が深さ5cm程度あったため、発生当日の作業はまず、この汚泥の除去から始めることとなった。
作業開始前の午前8時、元請作業者Aと下請作業者B、C他4名でミーティングを行い、Bを酸欠作業等作業主任者として選任し、Cを監視人として配置した。
午前8時15分、作業主任者Bは、原水受入槽内の作業環境測定を実施した。測定点は、槽西側の昇降口で、槽の底から約1.5mのところで、結果は、酸素濃度21.0%、硫化水素濃度3.0ppm、気温28℃であった。
午前8時35分、槽東側の開口部からホースを入れた後、Bは1人で槽の底に溜った汚泥の除去のため、槽西側の昇降口からはしごをつたわって槽の底へ降りた。
槽内に降りたBは、まずホースをとりに東側まで行き、その後再び西側へ戻って汚泥排出作業を始めた。
作業の方法は、槽内の勾配を利用し、槽の西側から東側へ向かって消火栓のホースで放水しながら底に溜った汚泥を洗い流し、槽の東側に設置されたポンプで汲みあげるものであった。
約10分程度で作業は終了し、槽内の東側で作業を終えたBは西側の昇降口へ戻り、ホースを置いてはしごを昇ろうとしたところ、汚泥から発生した硫化水素を吸いこんだため、急に意識を失って倒れた。
昇降口で監視していたCも、Bを救助するためはしごをつたわって降り、槽の底に達したところで、硫化水素を吸い込み意識を失って倒れた。
B、Cが倒れたとの知らせでかけつけたAは、酸素ボンベ、空気呼吸器、ロープ等を持って槽の中に入り、2人を救出した。
2人を救出した後、作業開始前に測定した位置で硫化水素等の濃度を測定したところ、硫化水素濃度100ppm以上(用いた測定機の測定限界を超えたもの)、酸素濃度21.0%であった。
なお、換気設備は、設置していなかった。また、空気呼吸器は、常に現場に2台用意していたが、硫化水素濃度を測定したところ3.0ppmであったため使用していなかった。
原因
1. 空気中の硫化水素濃度を10ppm以下に保つために必要な換気を行っていなかったこと。2. 酸素欠乏症等にかかった作業者を酸素欠乏等の場所において救出する場合に、救出作業を行う作業者に空気呼吸器等を使用させなかったこと。
3. 第2酸素欠乏危険作業に係る業務に就く作業者に対し、事故の場合の退避及び救急蘇生の方法等の特別の教育を行わなかったこと。
4. 管理監督者等の硫化水素の性質に対する認識が不足していたこと。
対策
1. 空気中の硫化水素濃度を10ppm以下に保つために必要な換気を行うこと。2. 硫化水素のガスが発生する可能性のある閉所作業、災害発生時の救出作業等においては、作業者に空気呼吸器等を使用させるなど必要な措置を講じること。
3. 第2種酸素欠乏危険作業に係る業務に就く作業者に対し、事故の場合の退避及び救急蘇生の方法等特別の教育を行うこと。