未供用の既設下水道点検作業中に酸欠死
業種 | その他の土木工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
災害の種類 | 酸欠 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.956
発生状況
災害発生当日、甲建設の取締役は、9時30分ごろ現場に到着し、17カ所あるマンホールの蓋へNo.1、No.2、No.3…と順次ペイント表示による番号付けを単独で行っていた。しばらくして、作業者Aと作業者Bが遅れて現場に到着したところ、取締役が見当らないため、作業の具体的指示はなかったものの、それまでの経験等から判断し、マンホール内部の目視による水位の確認、コンクリートのひび割れ確認等を行うこととした。
ところが、実際に作業を開始したところ、マンホール内には水が溜っておりコンクリートのひび割れの状態等の確認が困難であった。そのため、内部を確認しようとAが深さ4mのマンホール内に入ったところ途中で倒れ込んだ。
このため、外にいたBがAを救出しようと空気呼吸器を使用せず、途中まで入ったところ、息が苦しくなってきたため、外に出て助けを求めたものである。
Aは救急隊員により救出されたが酸素欠乏症のため収容先の病院で死亡し、Bも、酸素欠乏症により数日間休業した。
なお、マンホール内部が酸素欠乏状態となった原因として、下水道内に滞溜していた雨水に含まれる有機物の腐敗による酸素の消費と下水道管として敷設されていたヒューム管の雨水(酸性雨)による化学反応によりCO2が発生し、マンホール内の空気を置換したことが、推量される。
原因
(1) 第2種酸素欠乏危険作業主任者を選任し、作業方法の決定、作業の指揮等の職務を行わせること。(2) ホール内に、酸素濃度を測定することなく立ち入ったこと。
(3) 換気を行わなかったこと。
(4) 作業者に対して明確な作業指示が出されておらず、作業者が酸素欠乏危険場所であることを知らずに自己の判断で作業を行ったこと。
(5) 酸素欠乏等危険作業に従事する作業者に対する特別教育が実施されていなかったこと。
対策
(1) 第2種酸素欠乏危険作業主任者を選任し、作業方法の決定、作業の指揮等を行わせること。(2) 当該作業に就く作業者に対し、知識の不足から生ずる事故を防止するため、酸素欠乏危険作業に係る特別教育を実施すること。
(3) 酸素欠乏症にかかった作業者を酸素欠乏の場所において救出する場合は、空気呼吸器等を使用すること。
(4) 日常の安全衛生管理活動において作業を安全に遂行するための方法等について十分に検討を行い、作業手順等の周知を図ること。
(5) 現場における作業指揮命令系統を整備し、危険有害作業が作業者の勝手な判断で行われることのないように配慮すること。