職場のあんぜんサイト

  1. ホーム
  2. 労働災害事例
  3. 労働災害事例(検索結果詳細)

労働災害事例

建設工事現場で岩盤を破砕中、噴出した破砕剤による薬傷

建設工事現場で岩盤を破砕中、噴出した破砕剤による薬傷
業種 その他の土木工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の危険物、有害物等
災害の種類(事故の型) 飛来、落下
建設業のみ 工事の種類 その他の土木工事
災害の種類 その他の飛来・落下
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.951

発生状況

本災害は、遊園地内に設けるレジャープールの新築工事現場で発生したものである。
 被災者は、レジャープールの施設の一つであるウォーターボブスレーの建設を請け負った一次下請事業場の作業者であり、ウォーターボブスレー底盤部の堀削作業を被災日の前日より当日の朝までコンプレッサーピックを用いて行ったが、岩盤が硬く、作業がはかどらないため、破砕剤を用いた作業に変更することとなった。なお、破砕剤使用の決定は、元方事業場の工場主任が行ったものである。
 この作業は、まずドリルで岩盤に穿孔を行い、次に水に浸した破砕剤を孔に挿入し、ツール(充填用ハンマー)で充填を行った後、待機、この間に破砕剤と水が反応し、その膨張圧により岩盤を破砕するものである。
 被災者は、1回目の作業を10時30分頃に開始し約2時間で終了した。そして第2回目の破砕剤充填作業を午後4時30分頃に行ったが、破砕剤が若干残っていたのでさらに穿孔をして全部使おうと、充填終了後の孔の付近で適当な穿孔個所を探していたところ、充填後10分程経過した孔口の一ケ所から、突然反応済の破砕剤が噴出し、被災者の顔面に飛散した。破砕剤の主成分は生石灰(CaO、水との反応により消石灰:Ca(OH)2となる。)であり、被災者は、保護眼鏡を着用していなかったためアルカリによる薬傷を負ったものである。

原因

(1) 破砕剤が充填した穴より噴出したこと。
(2) 保護眼鏡をはずした状態で破砕剤を充填した穴に近づいたこと。
(3) 破砕剤を充填した穴にシートをかぶせていなかったこと。
 なお、(2)と(3)については、
(4) 破砕剤の使用にあたって元方事業者及び下請事業者の間で事前に十分な検討が行われなかったため作業方法が適切でなかったことが原因として挙げられる。

対策

(1) 仕様書に従った適切な作業手順を当該作業者に徹底すること。
(2) 仕様書等を参考にして、作業手順について事前に十分検討を行い危険性の把握を行うこと。
(3) 上記検討に基づき、作業者及び作業現場について危険防止措置(保護眼鏡の着用、穴をシートで覆う、付近を立入禁止とする等)を取ること。
(4) 破砕剤を使用する作業に作業者を従事させるにあたり、当該作業に関する安全衛生教育を行っておくこと。
(5) 作業指揮者を選任し、危険防止措置等について、その者の指示を受け、作業を行わせること。