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労働災害事例

下水道幹線用特殊人孔内で型枠作業中、酸素欠乏等による災害が発生

下水道幹線用特殊人孔内で型枠作業中、酸素欠乏等による災害が発生
業種 上下水道工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 異常環境等
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
建設業のみ 工事の種類 上下水道工事
災害の種類 酸欠
被害者数
死亡者数:− 休業者数:2人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.950

発生状況

災害発生当日、仮枠大工A及びBの2名は、所属の株式会社Xの現場管理者の指示により、地下2階において、その内部を仕切るための壁を築造するための仮枠組立作業を午前中から行っていた。
 昼の休憩後、再び地下2階において同作業に従事していたが、約30分程度経過した頃、Aは、工事用材料の一部が不足していることに気付き、特殊人孔側面にあるステップ(いわゆるモンキーステップと呼ばれる背もたれがないもの)を利用し、地上に出ようとしたところ、動悸、眼の痛み、全身脱力等を感じたため、必死に助けを求める声を発し、地下1階までなんとかはい上がったところを、叫び声を聞いた元請けの作業者等に救助された。
 一方、BもAと同様に眼の痛み、全身脱力等を感じ、地下2階から脱出するために、ステップを利用し、地下1階へ登っていた時、意識を失いステップから地下2階床面まで墜落し、休業する災害となった。

原因

(1) 酸素濃度、硫化水素濃度の測定を行わず、作業に従事させたこと。(酸欠則第3条)
(2) 換気を行わなかったこと。(酸欠則第5条)
(3) 酸素欠乏危険作業主任者が選任されていなかったこと。(酸欠則第11条)
(4) 酸素欠乏等危険作業に従事する作業者に対する特別教育の未実施(酸欠則第12条)
 等、基本的な事項が一切覆行されていなかったことが考えられる。

対策

(1) 作業開始前に、酸素濃度、硫化水素濃度を測定することはもちろんのこと、本件の如く流れ込む下水の状況が刻一刻と変化する場所においては、作業中も随時濃度測定を実施すること。
(2) 換気を十分に行うこと。
(3) 酸素欠乏危険作業主任者(第2種)を選任し、その者をして、酸素欠乏等の空気を吸入しない作業方法を決定し、作業者を直接指揮し、また、上記(1)の濃度測定等を行うこと。
(4) 監視人を配置し、異常があった際の措置に備えさせること。
(5) 酸素欠乏等危険作業に従事する作業者に対し、知識の不足から生ずる事故を防止するため、酸素欠乏症、硫化水素中毒等に関する特別教育を行うこと。
 等が考えられるが、建設業においては、労働安全衛生法第29条、30条等に示されているように、作業計画の樹立等、必要に応じ、元請けが下請けの指導、援助等を行い、災害の防止に努めていかなければならない。