廃液処理工場内で、硫化水素が発生し中毒
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.923
発生状況
本災害は、工場内での産業廃液処理槽で中和処理を行う作業において発生した。作業は、処理槽で硫酸銅系の産業廃液(液中に硫酸銅10%と硫酸8%が入っているもの)を中和剤(水酸化ナトリウム)で中和し、水酸化銅の沈殿とし、さらに硫化水素ナトリウムを加えて難溶性の硫化銅の沈殿として脱水処理するものである。
災害発生当日、作業者Aは廃液処理作業を行っていた際、廃液と中和剤との総量が処理槽の容量を超えたため、中和剤の投入を中止した。さらに、作業を終了させようとし、処理槽に硫化水素ナトリウムを投入したところ、十分に廃液が中和されていなかったため、廃液中の硫酸と反応し硫化水素が発生した。近くで別の処理作業をしていた被災者Bは腐卵臭を感じたため、避難したが、帰宅後吐き気、めまい等を訴え、病院で診察されたところ、硫化水素中毒と診断され入院した。
原因
[1] 廃液と中和剤との中和状況を把握せずに作業を行ったこと。[2] 硫化水素が発生するおそれがあること等について十分な労働衛生教育を行っていなかったこと。
対策
[1] 事業者は、作業標準を作成し、これに沿った作業を徹底させること。[2] 事業者は、硫化水素が発生するおそれがあること、硫化水素の有害性および発生した場合の措置等について、作業者に十分な教育を行うこと。
[3] 特定化学物質等作業主任者を選任すること。
[4] 異常事態発生の場合等も考慮し、適切な保護具を備え付けること。