地下雨水貯水槽内で防水処理中、トルエン等の中毒となる
業種 | 建築工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 建築工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.921
発生状況
本災害は、植物園の建築工事現場で、地下ピットの雨水貯水槽のウレタン防水処理作業中に発生した。作業は3名が、地下にあるコンクリート製の雨水貯水槽に入り、防水処理の下地処理であるプライマー塗布作業を行うものであった。
また、貯水槽内部は、コンクリートの壁で5槽に仕切られており、直径60cmの人通口でそれぞれが連絡しており、当日は午前8時15分より作業を開始し、各槽あたり1時間程度で作業を終了する予定であった。
槽内には換気設備として送風機2基が置いてあった。1基にはダクトを接続していたが、外への出口のマンホールへは接続されていなかった。
プライマー塗布作業を開始して15分後、2名が目の痛みを訴えはじめた。その後3名とも気分が高揚し、笑い始めた。その後意識を失ったため病院に収容され、有機溶剤中毒と診断された。
原因
[1] 当該業務に従事する作業者に送気マスクを使用させなかったこと。[2] 有機溶剤作業主任者の不在。
[3] 有機溶剤の中毒に関する認識が薄いこと。
対策
[1] 短時間で行う防水加工等の業務で、有機溶剤の発散源を密閉する設備または局所排気設備を設けないで行うタンクなどの内部における業務については、従事する作業者に送気マスクを使用させること。[2] 有機溶剤業務を行うときは、有機溶剤作業主任者に直接作業の指揮を行わせること。
[3] 有機溶剤業務に従事する作業者にその有害性を十分教育すること。