塗装ブース槽の清掃中、化学薬傷を負う
業種 | その他の清掃・と畜業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.918
発生状況
本災害は、塗装工場において廃塗料沈殿槽を清掃中に発生した。災害の発生した工場内の塗装を行うブースには、オーバースプレーされた塗料を受けるための沈殿槽が設置されており、槽内には常時深さ50cm程度に水が張られ、けん化反応により塗料を沈殿させるために、水酸化ナトリウムと廃油が投入されていた。災害発生当日は、半年に1度の塗装ブース全体の清掃の日であった。槽内の水溶液がバキュームカーにより吸い上げられた後、作業者A、Bほか計4人で槽底に残った廃塗料沈殿物(深さ約30cm)をスコップですくってバケツに入れる作業を行っていた。作業開始から約1時間後、スコップですくった際に飛んだ水溶液を浴びたAが、顔、手、足に痛みを訴えたため、現場責任者はAの作業を槽外での作業に変更した。代わりにCが槽内での作業に就いた。その後、B、Cも足などの痛みを訴えたが、沈殿物の除去が終わるまで作業を継続した。作業終了後、3人が医師の診察を受けたところ、水酸化ナトリウムによる薬傷と診断された。
なお、作業者の服装は、通常の作業着にビニール手袋、ゴム長靴、さらに人によってはナイロン製ヤッケを着用していた。
原因
[1] 皮膚に障害を与える水酸化ナトリウムを取り扱うにもかかわらず、適切な保護具を使用していなかったこと。[2] 作業者及び現場責任者が、槽内の物質の有害性について認識していなかったこと。
対策
[1] 事業者は、作業者を皮膚に障害を与える物質を取り扱う業務に就かせるときには、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋又は履物等適切な保護具を使用させること。[2] 事業者は、取り扱う物質の有害性について事前に調査した上で、関係作業者にその有害性、取扱い方法等について教育を行うこと。
なお、その調査に当たっては、当該物質の販売者に対し、化学物質等安全データシート(MSDS)等の提出を求めること。