薬品を誤って投入したため塩素ガスが発生し、中毒となる
業種 | 旅館業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.916
発生状況
本災害は、ホテルの井戸水浄化処理工程において、薬品タンクへの補充作業中に発生した。災害のあった事業場では、井戸水を浄化して飲料水、料理などに使用している。地下のボイラー室に設けてある浄化施設では、汲み上げた井戸水にポリ塩化アルミニウム(PAC)、次亜塩素酸ナトリウム及び塩酸を加え、凝集・滅菌等を行った上でろ過している。これら3種類の物質はそれぞれ別々のタンクに溜めてあり、自動的にポンプで汲み上げられ井戸水に添加される。タンクには、毎日、減少した量だけ補充を行っている。
災害発生当日、被災者はそれぞれのタンクに薬品を補充しようとして、PACのタンクに誤って次亜塩素酸ナトリウムを投入してしまった。そのため刺激臭が発生した。被災者は、その後もタンクの中に生成した白い沈殿物を取り除こうとしていたが、刺激臭に気づいてボイラー室に入った同僚に注意され外に出た。被災者は軽い塩素ガス中毒となっており、数日間入院した。なお、ボイラー室には呼吸用保護具等の保護具が備えつけてあったが、被災者は災害発生後も着用しなかった。
原因
[1] ポリ塩化アルミニウムのタンクの中に誤って次亜塩素酸ナトリウムを投入したこと。[2] 被災者が、薬品の混合により塩素ガスの発生のおそれのあること及び塩素ガスの有害性についての知識が不十分であったため、塩素ガス発生後も、保護具も着用せずに作業を続けたこと。
対策
[1] 事業者は、タンクの中に誤って別の物質を投入しないように、タンク及び容器に内容物を明確に表示するとともに、作業方法等について改善すること。[2] 事業者は、作業を誤れば塩素ガスが発生するおそれがあること、塩素ガスの有害性及び発生した場合の措置等について、作業者に十分な教育を行うこと。