サイロ内における酸素欠乏症
業種 | その他の製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.906
発生状況
本災害は、飼料工場内のコンクリートサイロの外壁補修工事において、外壁のはつり部分の点検の結果、亀裂の一部がサイロ内部まで達しているおそれがあるため、作業者1名がサイロ内に入り、内壁の点検を行った後に外に出ようとしたところ、酸欠空気により被災したものである。このサイロは直径8.5m、高さ26.3mの円柱状のもので、艀からベルトコンベヤーで運ばれたトウモロコシを一旦搬入し、必要に応じて畜産等の飼料の製造原料として工場に送り出すための貯蔵場所であり、災害発生時にはサイロ屋上部の投入口より2.5m下方の位置までトウモロコシが入っていた。
災害発生当日は、今回の工事発注者である事業場の作業者Aがサイロ屋上面に登り、懐中電灯で約1m程下方の外壁の亀裂の状態を調べていたが、一部がサイロ内部まで達しているおそれがあるため、工事施工業者の作業者Bに懐中電灯で投入口からサイロ内部を照らさせ、状態を確認させようとしたが確認できなかった。
このため、Aは投入口にあるタラップにロープの端を結び、一端を輪にしてサイロ内に降り、約10秒ほど内壁を調べた後に外へ出ようとしたところ意識を失い倒れた。
Aは偶然足がロープ輪に引っ掛かっており、サイロ外に引き上げられて同僚作業者に人工呼吸を行われた後、かけつけた消防署員により病院に搬送されたが、休業38日の重体であった。
原因
[1] サイロ内で作業を行うに当たり、作業開始前にサイロ内の酸素濃度を測定することなく立ち入ったこと。[2] 作業者に空気呼吸器等を使用させるか、またはサイロ内の酸素濃度を18%以上に保つよう、換気を行わなかったこと。
[3] 酸素欠乏危険作業を行うに当たり、酸素欠乏危険作業主任者を選任していなかったこと。
[4] サイロ内で作業を行う場合についての作業標準が徹底されていなかったこと。
対策
[1] 酸素欠乏危険作業を行うに当たり、作業場所の酸素濃度を測定すること。[2] 作業者に空気呼吸器等を使用させるか、またはサイロ内の酸素濃度を18%以上に保つよう、換気を行うこと。
[3] 酸素欠乏危険作業主任者を選任し、法定の職務を行わせること。
[4] 作業標準の周知および徹底を行うこと。
[5] 酸素濃度測定器具および保護具(空気呼吸器、安全帯等)について、それらの点検・整備等の管理体制を確立すること。