汚水処理施設の汚水槽内における硫化水素中毒
業種 | 清掃・と畜業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.905
発生状況
本災害は、水産食料品製造工場から排出される汚水の処理施設の汚水槽の排水バルブ修理作業中、槽内に立ち入った作業者が硫化水素を吸入し、意識を失って汚水中に転落し、被災した。さらに、救出しようとした作業者2名も被災したものである。この処理施設では、水産食料品製造工場から排出される汚水の浄化を行っている。汚水槽には、魚介類を加工する際に出る汚水が、1日に30から40トン程度流入する。この中には、魚介類の血、皮、骨等が混入している。
嫌気性菌による汚水中の有機物の腐敗を防ぐため、空気ポンプによる汚水中への送気、汚水のかくはん等の装置が設けられているが、災害発生前数カ月間は稼働されていない。
災害発生当日、汚水槽から汚水があふれているため点検が行われた結果、汚水の配管に取り付けられた逆流防止弁が腐食し、破損していることがわかった。このため、作業者3名で破損した逆流防止弁を修理することとし、汚水槽内に入り、弁周辺の汚水配管の切断作業を行うこととなった。うち1名が、脚立を用いて汚水槽の上部から内部に降りようとしたところ、槽内の酸素欠乏等の空気を吸入して意識を失い、汚水中に転落した。このため、他の2名が災害発生の通報を行った後、被災者を救出するため槽内に降りようとしたが、2名とも同様に被災し、この2名は死亡した。
作業に当たって、安全帯等は使用せず、汚水槽内の換気は行われていなかった。また、救出時に空気呼吸器等は使用されていなかった。
原因
[1] 酸素欠乏危険場所における作業であるにもかかわらず、硫化水素の濃度の測定を行わなかったこと。[2] 換気を行わなかったこと。
[3] 転落防止のための安全帯等の使用を行わなかったこと。
[4] 作業標準が作業者に徹底されていなかったこと。
対策
[1] 作業開始前に酸素および硫化水素の濃度の測定を行うこと。[2] 空気中の酸素の濃度を18%以上、かつ、硫化水素の濃度を10ppm以下に保つように換気すること。なお、換気することが困難な場合は、空気呼吸器等を使用すること。
[3] 酸素欠乏症等にかかった作業者を救出する場合には、空気呼吸器等を使用すること。
[4] 酸素欠乏症等にかかって転落するおそれのあるときは、安全帯その他の命綱を使用すること。
[5] 第2種酸素欠乏危険作業主任者を選任し、所定の事項を行わせること。
[6] 作業者に対し、酸素欠乏症等の防止に関する特別教育を実施すること。