防火水槽新設工事において練炭を用いたコンクリート養生箇所に立ち入り、一酸化炭素中毒となる
業種 | その他の土木工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.904
発生状況
本災害は、防火水槽新設工事において、練炭を用いたコンクリート養生を行っていたが、それとは知らずにコンクリート型枠解体作業を行おうと防火水槽内に入り、練炭の不完全燃焼によって発生した一酸化炭素を吸入し、被災したものである。この防火水槽新設工事は、床堀り、配筋、型枠組立、コンクリート打設、型枠解体等の工程で行われた。この工事が行われたのは寒冷地であったため、コンクリートが固まるまで十分な保温養生が必要であった。このため、コンクリート打設後、開口部をビニールで閉じ練炭を用いて保温養生を行い、養生開始日から1週間目に型枠解体作業にとりかかった。
この工事を行っていた事業場は従業員が少なかったため、型枠解体作業は、急遽この事業場とは別の事業場で請け負うことになった。
型枠解体作業を請け負った事業場の作業者は、作業開始に当たって、元請けの現場監督から練炭養生をしていることは告げられていなかった。
まず入口を覆っていたビニールを外し、1名の作業者が作業用はしごを伝って水槽内に入ったところ直ちにうずくまってしまった。
他2名の作業者が救出のため水槽内に入ったところ同様に次々倒れた。その後この3名は病院に運ばれ、一酸化炭素中毒と診断された。
なお、呼吸用保護具および送風機等の換気装置は、元請け、下請けとも所持しておらず、水槽内で作業を行うに際し、酸素濃度および一酸化炭素濃度の測定を行っていなかった。
原因
[1] 水槽内で、練炭が不完全燃焼したこと。[2] 水槽内で練炭を使用していることを事前に作業者に周知していなかったこと。
[3] 水槽内の一酸化炭素濃度について測定する等、安全確認をしなかったこと。
[4] 水槽内の換気を十分行うことなく、いきなり作業者を立ち入らせたこと。
[5] 被災者救出の際、適切な呼吸用保護具を使用しなかったこと。
対策
[1] 練炭等燃焼ガスの中に一酸化炭素が含まれているものに関しては、一酸化炭素中毒を含む酸素欠乏による危険性について、関係作業者に十分な安全衛生教育を行うこと。[2] 練炭を使用し、燃焼させた場所には、一酸化炭素中毒の危険性がある場所であることを表示すること。
[3] 水槽内に立ち入る際は、事前に十分な換気を行い、かつ、水槽内の一酸化炭素等の濃度測定を行うことにより、一酸化炭素中毒の危険がないことを確認すること。また、必要に応じて適切な呼吸用保護具を使用すること。