シャツ生地を洗浄中、高濃度の有機溶剤を吸って有機溶剤中毒となる
業種 | 織物業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.901
発生状況
本災害は、シャツ生地の製造事業場において、製造後検査の際発見されたシャツ生地の汚れを有機溶剤(1,1,1−トリクロロエタン)を用いて落とす作業中に発生した。作業は、1,1,1−トリクロロエタン(第2種有機溶剤)を95%含んだ洗浄液をスプレーガンを用いて汚れている部分に直接吹き付け汚れを除去するものであり、洗浄されたシャツ生地は室内で自然乾燥させていた。
災害発生当日、被災者は午前8時頃スプレーガンの溶液タンクに洗浄剤をほぼ満タン(約925ml)に入れ、1人で洗浄作業を開始した。
被災者は、午前10時頃気分が悪くなったが、正午までこの作業を続けた。昼休み後、再度この作業を始めたものの再び気分が悪くなり、午後2時に仕事を切り上げて帰宅した。それまでの間に、洗浄剤約500ml程度を消費していた。
この作業は、局所排気装置や全体換気装置が設けられていない作業場で行われた。作業場には0.44m2の窓が1つあったが、暖を取るため開放されていなかった。また、作業者は呼吸用保護具を着用していなかった。
本作業はいつも被災者が1人で行っていたが、今回は汚れている部分の面積が広かったため、通常よりも多量の洗浄剤を使用したものである。
被災者は、帰宅後、深夜になって体調が更に悪化したため入院した。
原因
[1] 局所排気装置が設置されていないこと。[2] 作業主任者が選任されておらず、適切な作業方法が検討されていなかったこと。
[3] 事業者および作業者とも有機溶剤の有害性にかかる知識がなかったこと。
対策
[1] 局所排気装置を設置する等、有機溶剤に対する暴露防止対策を徹底させること。[2] 作業主任者を選任し、適切な作業方法を確立すること。
[3] 作業者に対して、適切な作業方法、取り扱う物質の有害性等について労働衛生教育を実施すること。