屋内塗装の補助作業に従事し、有機溶剤中毒となる
業種 | 建築工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 建築工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.900
発生状況
本災害は、工場の増築工事における屋内の塗装作業において発生した。工事を請け負った事業場は、建築が主な業務であるが、建築に付随して塗装作業がある場合には自社で塗装作業も行っていた。
塗装作業は4名で実施され、うち3名は刷毛とローラーを用いて柱、天井および内壁を塗装し、残りの1名(被災者)は缶入りの塗料と塗料用シンナー(共にミネラルスピリット(第3種有機溶剤)を含有する。)を別に用意した缶に入れて混ぜ合わせ、これを塗装を行う3名それぞれが持つ小さな容器にひしゃくを使ってくみ渡す作業を行った。この際、窓、ドア等は開放されていたが、建屋の一部にビニールシートによる仕切りがあったため換気は十分ではなかった。また、作業中いずれの作業者も呼吸用保護具を着用していなかった。
塗装作業は3日間行われ、作業最終日の翌日になって被災者にじん麻疹の症状が現れたため病院で診察を受けたところ、急性じん麻疹および薬物性肝障害と診断された。
原因
[1] 塗料等に含まれている有機溶剤の有害性について事業者の認識がなかったため、有機溶剤作業主任者が選任されておらず、作業者に対する安全衛生教育も実施されていなかったこと。[2] 十分な換気を行っておらず、また呼吸用保護具を着用していないなど、有機溶剤に対するばく露防止対策が講じられていなかったこと。
対策
[1] 作業主任者を選任し、その作業主任者に適切な作業方法を決定させ、作業者を指揮させること。[2] 作業者に対し、有機溶剤の有害性等について適切な安全衛生教育を実施すること。