冷蔵庫における酸素欠乏症
業種 | 各種商品卸売業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.899
発生状況
本災害は、果物を貯蔵・冷蔵している空気調整冷蔵庫内でクレーンの異常があったため、それを確認しようとして作業者が中に入り酸欠で倒れ、さらに、この作業者を救出しようとした同僚の作業者も当該冷蔵庫内で酸欠によって倒れるという二次災害が発生したものである。この冷蔵庫内は、窒素の割合が非常に高く、酸素濃度は常時3〜4%である。通常作業として冷蔵庫内に入る作業はないが、庫内のクレーンの安全装置等が作動してクレーンが止まり、庫外からの操作では動かない場合などには、冷蔵庫内に入ることがある。ただこの場合においては、必ず酸素欠乏危険作業主任者(以下、作業主任者)へ連絡をして、その指示を受けることとされており、また本災害発生以前においては、作業主任者が空気呼吸器を着用して入庫していた。
災害発生当日も、通常通り出荷作業が行われていたが、その作業中、クレーンの故障を知らせる異常ブザーが鳴った。このため作業者AとBは、そのクレーンの状況を把握しようと検査窓等を通して冷蔵庫内部を見たが把握できなかった。そこでAとBは、辺りを見回して現場責任者や作業主任者を探したがいないことから、彼らの独自の判断で、入口からその状況を把握しようと当該冷蔵庫のドアを開けたが、その入口からもクレーンの状況を把握できなかった。そこでAは、状況を把握するためにはクレーンの近くに行かなければならないと考え、息を止めて冷蔵庫内に走って入っていったが、入口から7m程度入ったところで倒れてしまった。
これを見ていたBは、別の場所にいた作業者CにAが冷蔵庫内で倒れたことを伝えるや、現場責任者等を探しに行ったが、その間に、今度はCがAを救出するべく同じように息を止めて冷蔵庫内に入ったが、Cも中で倒れてしまった。
その後、現場責任者Dと作業主任者Eが到着し、Eが入口に備え付けてあった空気呼吸器を付けて冷蔵庫内に入り2人を救出した。
彼らはすぐに救急車で病院に収容されたが、どちらも休業30日の重体であった。
原因
[1] 酸欠に係る危険の認識が低かったこと。[2] 酸素濃度が18%未満の場所に入るにもかかわらず、空気呼吸器等を使用しなかったこと。
対策
[1] 雇入れ時の教育、酸欠に係る特別教育を実施すること。[2] 酸素濃度が18%未満の場所に立ち入る場合には、換気を行うこと。これが困難な場合には、空気呼吸器等を使用すること。