高速回転砥石切断機による鉛ヒュームによって慢性鉛中毒となる
業種 | その他の非鉄金属製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.890
発生状況
本災害は、鉛を含有する水道用仕切り弁の鋳物部品を製造する事業場において発生した。製品は、原料を溶解し、鋳込み、型ばらしを経た後、不必要な部分を固定グラインダーにより切断・研磨するという工程を経て製造されるが、被災者は入社以来18年にわたり、主として固定グラインダーによる切断・研磨の作業に従事していた。
このグラインダーには局所排気装置が設けられていたが、被災者は、時々稼働させることなく作業をすることがあった。また、この局所排気装置に接続されている除じん装置の排気口は、屋内に設置されており、除去しきれない鉛粉じんは屋内に飛散するようになっていた。さらに、被災者は作業中には防じんマスクを着用していなかった。
被災者が腹痛を訴え、病院で血液検査を受けた結果、血中鉛濃度が80μg/dlであることが判明し、慢性鉛中毒と診断された。
この事業場では、健康診断、作業環境測定ともに法定の頻度で実施しておらず、労働衛生管理が不十分な状態であった。
原因
[1] 局所排気装置の稼働が不十分であったこと、除じん装置の排気口が屋内にあったことなど、作業環境管理が不適切であったこと。[2] 作業環境測定が実施されていなかったこと。
[3] 有効な呼吸用保護具を着用していなかったこと。(ガーゼマスクは、微細な粉じんに対しては効果がない。)
[4] 健康診断を実施していなかったこと。
[5] 関係作業者に対して、鉛粉じん等に関する教育が実施されていなかったこと。
対策
[1] 局所排気装置は有効に稼働させるとともに、除じん装置の排気口は必ず屋外に設けること。[2] 作業環境測定を実施し、作業環境の状態を確認するとともに、必要な改善を行うこと。
[3] 有効な呼吸用保護具を着用させること。
[4] 健康診断を実施し、その結果に基づく事後措置を行うこと。
[5] 関係作業者に対して労働衛生教育を実施すること。