地下密閉槽内に立ち入り、コンクリート養生のため使用した練炭の燃焼ガスにより、一酸化炭素中毒となる
業種 | 建築設備工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 建築設備工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.889
発生状況
本災害は、団地内の地下防火水槽を建設する工事の完了直前に発生したものである。この防火水槽はコンクリート製であり、仕上げ作業終了後養生を行うために、槽内にそれぞれ練炭を2個ずつ重ねて入れたコンロ5個を置き、練炭を燃焼させてから開口部のふたを密閉した。
2日後、作業者AおよびBの2名が現場内の写真を撮影するために槽内に立ち入ったが、約5分経過後に頭痛とめまいを覚えた。Aはすぐに槽外に脱出したが、Bは槽内に仰向けに倒れたまま脱出できなかった。すぐにAは近くにいた同僚とともに、塗装用の換気装置を使用して槽内を換気しながら倒れていたBを助け出し、約40分後にに病院に収容したが、6日後にBは一酸化炭素中毒で死亡した。
2個重ねてあった練炭のうち、下の練炭は完全に灰になっていたが、上のものは底の部分のみが灰になって消えていた。一般に練炭の燃焼ガス中には一酸化炭素が含まれているが、槽内が密閉されていたため、不完全燃焼となり更に火が消えてしまったと考えられ、発生した一酸化炭素の量が多かったものと思われる。
過去においてもこのようにコンクリートの打設後、乾燥のために練炭を用いて一酸化炭素中毒に被災する事例は多く発生している。
原因
[1] 密閉した槽内では、練炭の燃焼により一酸化炭素が発生するということを認識していなかったこと。[2] 槽内に立ち入る前に換気を十分に行い、一酸化炭素濃度が下がったことを確認しなかったこと。
[3] 呼吸用保護具を着用しなかったこと。
対策
[1] 練炭等燃焼ガス中に一酸化炭素が含まれているものに関しては、一酸化炭素中毒の危険性のあることをあらかじめ関係作業者に周知徹底するとともに、練炭を燃焼させた場所にはその旨を表示すること。[2] 立ち入る際には、事前に十分に換気を行い、槽内の一酸化炭素の濃度測定を行うことにより換気が十分に行われたことを確認すること。
[3] 呼吸用保護具を着用すること。