吹き付け塗装作業中、有機溶剤中毒となる
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.887
発生状況
本災害は、3階建ての建物の新築工事において、階段室内壁のスプレーガンによる吹き付け塗装作業中に発生した。前日に階段室の1階から3階部分までの下塗り作業を終了しており、当日はその上塗りの作業を行った。
当日の作業にあたった作業者AおよびBは塗装作業を開始するにあたり、塗料が他に飛散しないよう1階、2階および3階のそれぞれ1カ所に出入口(50cm×120cm)を設けたほかは、階段室の開口部を全てビニールで密閉した。
さらに、1階の開口部には、排気用のファン(60m3/分)を、2階及び3階の開口部には、送気用のファン(24m3/分)をそれぞれ1台ずつ設置した。
A及びBは新しい吸収缶のついた防毒マスクをつけ、Aが塗装作業を、Bがスプレーガンのホースの移動や塗料の運搬等の補助作業を行うという分担で作業を開始した。作業開始後、約1時間半経過した頃、Bが3階の踊り場に倒れていたのをAが発見し、救助した。
原因
[1] 有機溶剤作業主任者が選任されていなかったこと。[2] 全体換気装置の性能が不十分であったこと。(規則上は約1,400m3/分以上の換気能力が必要であった。)
[3] 有機ガス用防毒マスクを着用していたが、マスクの吸収缶の破過時間を超えて塗装作業をおこなったこと。
[4] 有機ガス用防毒マスクの吸収缶の破過時間、全体換気装置の性能等について十分な知識がなかったこと。
対策
[1] 有機溶剤作業主任者の選任を行うこと。[2] 全体換気装置を設置する場合は、十分な性能を確保すること。
[3] 有機ガス用防毒マスクの吸収缶の破過時間に十分留意すること。
[4] 関係作業者に対して、有機ガス用防毒マスク、全体換気装置の性能等に関する教育を十分に行うこと。