強風により煙突からの排気ガスが工場内に逆流し、一酸化炭素中毒となる
業種 | パン、菓子製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 炉、窯 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.881
発生状況
被災者は災害発生当日、午前3時から店舗に付設されたパン製造工場において、パン生地の仕込み作業を行い、その後、工場内のガス・オーブンに点火し、オーブンから1.3m程離れた場所でパン生地の分割作業を始めた。午前7時頃、被災者は目の痛みを感じ、気分も悪くなったが、それほど気にもとめず作業を続け、更に、パン生地をオーブンに入れて焼く作業も開始した。
午前10時頃、被災者は、再びパン生地の分割作業を行っていたところ急に気分が悪くなり、全身がしびれたようになって、しゃがみ込むと同時に意識不明となった。
同工場内で別の作業をしていた同僚がこれを見つけ、責任者に連絡し、被災者を救急車で病院に収容したところ、一酸化炭素中毒と診断され、4日間の入院となったものである。
なお、被災者の使用していたガス・オーブンは、屋外排気方式のもので、工場の南側の壁面に煙突が設置されていた。また、当日は、雨天で南風が強く、工場への出入口、窓等は閉められており、換気扇も使用していなかった。
この工場では過去にも南風が強い日に限って排気ガスの臭気が感じられたり、作業者の気分が悪くなったことがある。なお、工場内にはガス・オーブン以外に有害ガスの発生源はなかった。
原因
[1] 燃焼排ガスが作業場に逆流したこと。[2] 作業場の換気設備が稼働していなかったこと。
対策
[1] 排気設備はガス・オーブンの燃焼排ガスが、屋外の気象条件により逆流することのないようにすること。[2] 作業場の換気を充分に行い、空気環境を良好に保つこと。
[3] 強制排出装置、換気装置等の機器については、定期的に点検を行い、必要な場合には補修し、常に良好な状態に保つこと。
[4] 作業指揮者の配置など安全衛生管理体制を整備すること。
[5] 作業者に対し、一酸化炭素中毒防止などの安全衛生教育を徹底すること。