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労働災害事例

しょう油タンクに入り酸欠

しょう油タンクに入り酸欠
業種 その他の食料品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 異常環境等
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:2人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.878

発生状況

当該事業場では、漬物の製造を行っており、災害発生当日は、しょう油貯蔵タンク1基と味液タンク2基の水洗いによる清掃が予定され、作業者Yほか2名が朝から清掃作業を開始した。
 味液タンクの清掃を終了した3名は、しょう油タンクの清掃を続けて行うことにした。なお、しょう油タンクは、高さ1.7m、直径約1.6mの円筒の形状をしており、その上部には内径45cmの蓋、しょう油注入口および空気弁(脱気口・直径6cm)が付いている。
 しょう油タンクの清掃に当たり、まずタンクの外壁に脚立を立てかけ、タンクの上部に昇り、タンク中央部にある蓋を固定している12本のボルトを抜き、蓋を取りはずした。そして、3人のうちY1名がまず、タンクの蓋の部分より足から入り、蓋の縁に両肘をかけて中に入った。このとき残りの2名がタンクの外側から「しょう油はどれくらい残っているか」と問いかけたところ、返事がないので、蓋から中をのぞいたところYが倒れていた。
 Yを救出するため、さらに1名がYと同様の方法でタンクの内部に立ち入ったところ、同じようにタンクの内部で倒れてしまった。
 そこで、タンクの周囲に集まった6名がタンクを横倒し、被災した2名を救出したが、両名ともタンク内の酸欠のため意識不明の状態であった。
 タンク内部に酸素欠乏空気が発生した原因は、しょう油に存する酵母の呼吸作用による酸素の消費と考えられ、「しょう油、酒類、もろみ、酵母その他発酵する物を入れてあり、または入れたことのあるタンク、むろまたは醸造槽の内部」は、労働安全衛生法施行令別表第六第八号より、酸素欠乏危険場所に指定されており、労働安全衛生法に基づく酸素欠乏症等防止規則(以下「酸欠則」という。)により、当該場所における作業には種々の制限が課せられている。

原因

[1] タンク内の酸素濃度を測定せず、また、そのために必要な測定器具も備えつけていなかったこと。
[2] タンク内部の酸素濃度を18%以上に保つための換気を行わなかったこと。
[3] 酸素欠乏危険作業主任者を選任し、その者に酸素欠乏による災害を防止するために、作業方法を決定し、作業を指揮すること等の職務を行わせなかったこと。
[4] 酸欠危険場所において作業に従事する作業者に対し、所定の特別教育を行わなかったこと。
[5] 二次災害防止のため、被災者を救出するための空気呼吸器、繊維ロープ等避難用具等を備えつけていなかったこと。
[6] タンクの内部の清掃を行うに際し、作業が安全に遂行されるよう作業方法等を決定し、その周知徹底を図らなかったこと。

対策

[1] タンクの内部の清掃を行うに際し、作業が安全に遂行されるよう作業方法を決定しその周知を図ること。
[2] 安全衛生委員会等を開催し、危険有害な箇所の把握と対応策を明確にすること。
[3] タンク内に入る前に酸素濃度測定を行い、酸素濃度が18%以上であることを確認するほか、作業中は十分な換気を行うこと。
[4] タンク内の清掃に従事するものに対して、所定の特別教育を行うこと。
[5] 空気呼吸器等の避難用具を備えつけるなど、二次災害防止のための措置を講ずること。