船倉内部を塗装作業中、有機溶剤で中毒
業種 | 造船業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.873
発生状況
I造船(株)所有のミキサー船内部にはコンクリートに混合する砂を入れる船倉があり、その下が5つに仕切られた二重底になっている。仕切られた部分の片側にはマンホールがあり、内部はタンク状になっている。
この二重底の防錆塗装に、I造船(株)の作業者2名が当たることになった。
被災者Aは、同僚Bとペアになり、一方が塗装中は他方がマンホールの外で監視する作業を担当することとし、交互に二重底の5つのタンク内を塗装することにした。
塗装担当者は直結式防毒マスクを着用し、さらにその上から布製で頭部を覆うフードが付いた送気マスクを着用して作業に当たった。
また、換気扇をマンホールの内側に設置した。作業開始から約2時間後に、最後のタンクの内部をAが塗装していたところ気を失なったので、Bは周辺にいた他の作業者4人に助けを求めた。
救助に当たった者は、有機ガス用防毒マスクを着用したが、そのうち2人が身体の不調を訴えた。
なお、有機溶剤作業主任者は選任されていたが、当日現場にはいなかった。
原因
[1] タンク等の内部において吹付け塗装を行ったため、有機溶剤の濃度が高まったこと。[2] 全体換気装置として設置した換気扇の換気性能が不十分だったこと。
[3] 着用した送気マスクのフードが布製だったため、被災者の口元に新鮮な空気が供給されず、タンク内の有機溶剤で汚染された空気を呼吸することとなり、防毒マスクの吸収缶が短時間で、破過してしまったこと。
[4] 救助作業者については、有機ガス用防毒マスクを着用したため有機溶剤の吸入を防止できる時間が短かかったこと。
対策
[1] タンク等の内部において吹付け塗装を行う場合には、有効に機能する送気マスクを使用すること。[2] 救助作業に使用する呼吸用保護具は、作業に要する時間に対して十分なものであること。
[3] 有機溶剤作業主任者は、適切な作業方法を決定し、作業者を指揮すること。