密閉室内でエンジン駆動の溶接機を使用し一酸化炭素中毒
業種 | 鉄道・軌道業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.870
発生状況
被災者は、鉄道会社において、駅構内、ポイント等の除雪作業者として冬季に限って雇用されていた。被災当日は、他の除雪作業者3名と駅構内の除雪作業を行っていたが、除雪機(ハンドスノーダンプ)の柄の下部分の溶接箇所が壊れたため、被災者はそれを倉庫で修理することにした。
倉庫は気積約92m3で、窓は4カ所、出入口は2カ所あったが、換気扇はなく、寒いので窓および出入口を閉めたままにしておいたため、室内は密閉状態だった。
倉庫にはガソリンエンジン駆動のアーク溶接機があった。エンジンの始動鍵が付いたままになっていたので、被災者はエンジンをかけ、ハンドスノーダンプのほか、修理が必要なままにしてあった他の2台を合わせ、計3台の溶接修理を行った。3台の溶接を終えた後、溶接部にできたバリをハンドグラインダーで削り取る作業に取り掛かり、2台のバリ取りを終え3台目にかかろうとしたところで、内部に充満していた排気ガスにより意識を失って倒れた。
数十分後、持ち場に戻ってこない被災者を捜していた他の作業者らが、倉庫内にうつぶせで倒れている被災者を発見し、直ちに救急車で病院へ運んだところ、一酸化炭素中毒と診断された。
原因
[1] 密閉状態の建物内部で、エンジン駆動の溶接機を使用したこと。[2] 排気ガスの危険性・有害性について、作業者に十分教育がなされていなかったこと。
[3] 溶接機のエンジン始動鍵が付いたままになっており、自由に使用できる状態になっていたこと。
対策
[1] ガソリンエンジン等の内燃機関については、室内等、換気、通風の悪いところで使用してはならない。[2] 室内等でやむを得ず使用する場合には、換気を十分にし、排気ガス等を外部に出す等、一酸化炭素中毒にならないような措置を講ずるとともに、空気中の一酸化炭素の濃度を継続して監視するなどの方法により、前記の中毒を予防するための措置が有効であることを確認して作業を行うこと。
[3] 作業者に対して、内燃機関使用における排気ガスの危険性、有害性について安全衛生教育を実施すること。
[4] この溶接作業は、感電災害防止等の観点からアーク溶接等に係る特別教育を受けた者でなければ行えないこともあり、あらかじめ定められた者により作業が行われるよう、例えば、溶接機のエンジンの始動鍵の管理を確実に行う等の措置を講ずること。