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労働災害事例

エレベーター改修工事における有機溶剤中毒

業種 その他
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
建設業のみ 工事の種類 その他の建設工事
災害の種類 中毒
被害者数
死亡者数:− 休業者数:2人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.861

発生状況

工事内容は、マンションに既設の乗用エレベーター改修工事である。
 当該事業場は3次下請であり、具体的にはエレベーター内の壁面および天井シートの張替工事を請け負ったもの。
 災害発生当日は、被災者A1名で工事を行う予定であったが、他の現場の作業が予定より早く終了したため作業がなくなった被災者Bを加え、急きょ2名で行うこととした。
 両名は、午前9時30分ごろ現場に到着した。
 到着後、Aは、元請の現場監督Cと作業の打ち合わせを行い、その間Bは、作業準備を行っていた。
 午前10時10分ごろ、打ち合わせを終え、Cは現場を離れA、Bの2名のみで作業に取りかかった。
 まず、マンション管理人からエレベーターの鍵を借り、エレベーターの電源を切って扉を開放状態にした。
 次いで、エレベーター内の払拭作業を開始した。作業は、Bが脚立(高さ60cm)を使用してエレベーター内上部の壁面および天井面の払拭を、Aが同下部の壁面の払拭を同時に行うというものである。
 午前10時30分ごろ、Aは、自分の作業が終了したので、次に、扉の裏側の払拭を行うべく、エレベーターの扉を閉めて作業に取りかかった。
 約5分後、被災者等はエレベーター内に充満した有機溶剤の蒸気を多量に吸入したため意識を失い、エレベーター内で倒れた。その際、使用していたトロール缶を倒したため、同溶剤がこぼれ、被災者等の体に付着した。
 約1時間後、マンションの管理人がエレベーターの窓から、被災者等が倒れているのを発見したが、扉が外部からは開かないため、レスキュー隊員に通報し、同隊が窓ガラスを割って被災者等を救出した。

原因

1 エレベーター内の有機溶剤の濃度が許容濃度を超えたこと。
2 有機溶剤作業主任者を選任していなかったこと。
3 送気マスクを使用しなかったこと。

対策

1 有機溶剤の濃度が許容濃度を超えないように換気すること。
2 有機溶剤作業主任者を選任し、法定の職務を行わせること。
3 タンク等の内部で有機溶剤作業を行う場合は、送気マスクを使用すること。