廃液処理装置におけるシアン化水素中毒
業種 | 肉製品、乳製品製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.833
発生状況
災害の発生した廃液処理装置は、災害発生の数日前からシアン化水素の処理能力が低下していた。以前にも本装置の処理能力が低下したことがあり、そのときは、原液槽の清掃を行ったところ処理能力が回復したので、被災者Aは、同僚Bと話し合い今回も同様の方法で2人で作業を行うこととし、災害発生前日までに原液槽内の残液を処理槽に移すとともに、清掃作業に必要なバケツ、照明器具、はしご等の用具を準備していた。
災害発生当日、酸素濃度計により酸素濃度を測定したところ、酸素濃度20%を示したため、酸欠の危険性はないと判断し、Aは、はしごを用いて槽内に降りていった。作業手順としては、Aが槽内に残った汚泥をかきあげ、バケツに移し、そのバケツをBが引き上げ、屋外に捨てることとしていたので、Aの合図によりBがバケツを降ろし、Aがこれを取るため、はしごを2段ほど上ったところ、槽内にあお向けに倒れた。そこでBは、事務所に連絡し、事務所の職員が空気呼吸器を着用し、槽内に入りAを運び出した。
原因
(1) 原液槽の清掃作業について、作業方法、作業手順等の作業標準が作成されておらず、また、作業指揮者も定められていなかったために、作業者のみで考えた方法で作業が行われたこと。(2) 作業者に対して、安全衛生教育が十分に行われていなかったために、作業者がシアン化水素発生の危険性を認識していなかったこと。
(3) 原液槽は、自然換気の行われない密閉された場所であるにもかかわらず、換気を行わなかったこと。
(4) 特定化学物質等が滞留する恐れがあるにもかかわらず、測定は酸素濃度のみしか行わなかったこと。
が考えられる。
対策
(1) 特定化学物質を貯蔵する設備等の清掃を行う場合においては、作業の方法および手順を決定し、あらかじめこれを作業に従事する作業者に周知させること。(2) 作業に当たっては、特定化学物質等による作業者の健康障害の予防について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、その者に当該作業を指揮させること。
(3) 作業者に対して、シアン化水素の危険性等についての十分な安全衛生教育を行うこと。
(4) 換気装置により、作業を行う設備の内部を十分に換気を行うこと。
(5) 測定その他の方法により、作業を行う設備の内部について、特定化学物質等により作業者が健康障害を受ける恐れのないことを確認すること。