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労働災害事例

地下都市ガス圧調整室内での清掃作業における酸素欠乏災害

地下都市ガス圧調整室内での清掃作業における酸素欠乏災害
業種 その他
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 異常環境等
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
建設業のみ 工事の種類 その他の建設工事
災害の種類 酸欠
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.830

発生状況

被災者の所属する事業場は、一般住宅の暖房、給排水、ガス、水道工事等を行っておりK市企業局より都市ガス配管のガス圧調整ガバナー室の清掃作業を請け負っていた。
 ガス圧調整用ガバナー室は、都市ガス配管の途中に設けられており、配管を通じて送られてきたガスの圧力を適宜調節して先方配管へ送り出すものであり、K市都市ガスには17カ所設けられていた。
 事業場が請け負ったのは、このうち13カ所のガバナー室の清掃作業(ゴミ、ほこりの除去及び湧水、雨水等の排水)であり、2日間で実施する予定となっていた。(図1)
 作業初日の被災当日、被災労働者であるAと同僚作業者Bの2名は、午前7時に出社して、清掃作業の責任者である技術主任Cより作業についての指示を受け、午前7時30分に会社を出て作業を開始した。
 なお、Cは災害発生時には発注者の監督員と打ち合わせを行っており現場にはいなかった。
 被災時までに2カ所の作業が終了し、午前9時20分ごろから3カ所目のNo.8ガバナー室(たて3m、横2m、深さ1.8m、内容積約10.8m3)の清掃作業を開始した。
 2名で、2カ所設けられている点検口の蓋をあけて、Bが送風機(風量35m3/分)のセットをしていたとき(蓋をあけてから5分くらい経過)、Aは「中の様子を見て来る」と言って、ガバナー室内に設けてあるタラップを降りて行った。
 約30秒後に「ガタッ」と音がしたので、Bが中を見たところ、Aが床面に座り込んでいたので救出しようとしたが、1名では無理なので、附近を通行中の車両を止めて応援を求め、ガバナー室に入ってから2〜5分後に救出し、病院に収容したものである。

原因

(1) 次のいずれかの原因により酸素欠乏となったガバナー室内(酸素欠乏危険場所)に作業環境測定、換気を実施せず、また保護具を使用せずに入室したこと。
 [1] ガバナーの各部分から都市ガスが漏れ内部の空気がこれに置換された。
[2] ガバナー室低部に容量10lの排水ますがあるが、ここにはほぼ一杯の漏水等がたまっており、微生物の繁殖等で酸素を消費した。
[3] ガバナー室内の金属(ガス配管、ガバナー、点検口部分、タラップ等)の腐食により酸素を消費した。
 なお、現場の状況等から[1]が主たる原因と推定される。
(2) 酸素欠乏危険作業を行う際、資格を有する作業主任者を選任し作業指揮を行わせる等安全衛生管理体制が確立されていなかったこと。
(3) 酸素欠乏危険作業に従事する作業者に対して特別教育を実施していない等、関係者に酸素欠乏症等に関する十分な知識がなかったこと。

対策

(1) 酸素欠乏危険作業を行う場合、作業を開始する前に当該作業場所における空気中の酸素濃度を測定し、その結果に基づき必要な措置を講ずるとともに、作業中当該作業場所の空気中の濃度を18%以上保つよう換気すること。
(2) 法定の資格を有する第一種酸素欠乏危険作業主任者を選任し、作業指揮を行わせること。
(3) 酸素欠乏危険作業に従事する作業者に対して法定の特別教育を実施すること。