産業廃棄物の解体作業中、爆発、飛来した破片が当たる
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 引火性の物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.808
発生状況
被災当日、作業者12名を擁する事業場の作業者の多くは、他の産業廃棄物を事業場へ運搬する作業に従事しており、事業場内での解体作業には被災者1人が従事していた。被災者は、通常、事業場敷地内での金属製品の解体作業に従事しており、被災当日も事業場内にあるさまざまな廃棄物の解体作業をしていた。
被災当日午後、被災者は、4槽に区分されているステンレス製の大型容器(幅112cm、長さ230cm、高さ220cm)の解体作業に取りかかり、まず1番端の槽の解体作業から始め、ガス溶接装置で容器の槽の側面を一部溶断する作業をした後、容器の上に乗って、当該槽の接合ボルトを工具を使って外す作業を行っていたところ、当該槽から3番目の槽が爆発し、重さ21kgの上蓋が吹き飛び、爆発した槽に背を向けて作業中の被災者の肩背面に激突し、その反動で、被災者は容器上から地上に転落したもの。
被災者は救急病院に搬送されたが、翌日死亡した。
爆発した槽には、メチルエチルケトンおよびトルエンの有機溶剤混合物がドロドロした状態で残存していた。
原因
(1) 容器の近くにあったガス溶接装置の吹管はコックが閉まった状態で地面に置いてあり、吹管およびホース等には爆発・火災に伴う損傷は認められなかったこと。(2) 被災者の転落地点の近くに落ちていた、ボルトを取り外すためのモンキー等の工具にも爆発・火災に伴う損傷は認められなかったこと。
(3) 容器付近にタバコの吸い殻が2つ落ちており、被災者の吸うタバコの銘柄と一致したこと。
から、被災者が、有機溶剤の入った容器の解体作業を着火源となるタバコを吸いながら行っていたところ、タバコの火が何らかの理由で流出してきた有機溶剤に引火し、爆発雰囲気にあった流出元の容器の槽に引火し、槽が爆発、槽の上蓋が吹き飛んだものと推定される。
また、当該事業場には、さまざまな作業廃棄物が搬入されているが、災害の原因となった容器の搬入日、搬入元等の状況が全く分からないなど、他の廃棄物を含め廃棄物の危険性の確認が行われていなかった。
さらに、事業場の作業者に、被災者を含め、ガス溶接技能講習修了者が1人もいないなど、危険有害作業を行う可能性のある作業者に対し、安全衛生教育を行っていなかった。
対策
(1) 搬入される廃棄物の搬入状況を管理し、必ず搬入廃棄物の危険性を確認すること。(2) 搬入廃棄物が作業者に危険を及ぼす恐れがある場合には、その危険性を除去する措置を講じた後に、作業者に作業させること。
(3) 就業制限業務には必ず有資格者を就かせること。
(4) 爆発・火災の恐れのある場所での禁煙の徹底をはじめ、(1)〜(3)等の事項にも留意した作業標準を整備し、安全衛生教育の実施等により、作業者への作業標準の徹底を図ること。