ビニールハウス内に発生した一酸化炭素で中毒
業種 | 農業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.805
発生状況
事業者は所有する約5ヘクタールの農地で、三つ葉等の野菜を生産している。三つ葉は、3年前より栽培をしており、ビニールハウス(38m×5.4m×2.6m、アーチ状)で、冬期にはハウス内を暖房しながら栽培をしていた。このハウスは栽培箇所と収穫した三つ葉の加工箇所に区分されている。災害はビニールハウスの栽培箇所で発生した。災害当日の作業は午前7時ごろから始まった。栽培箇所では事業者が三つ葉の収穫作業をしていた。午前10時ごろ事業者は室内の温度調節用温風器の設定温度を5度から12度に変更するため温風器(油燃焼方式)のサーモスイッチを切り替えたとき、ドカンという音がして煙突が飛び、ハウスの天井に当たりビニールを破った。事業者は温風器の運転スイッチを停止にして、煙突の補修をして再び温風器を作動させたところ、煙突の継目から黒い煙が発生した。そこで温風器は停止させた。
その後修理を外部に依頼し、修理を終え、午後5時に再び温風器の運転スイッチを押した。
午後6時30分に事業者は胸が苦しくなり、その他の者も、頭痛、風邪症状、嘔気を訴えた。一酸化炭素中毒を疑い近医を受診し、一酸化炭素中毒と診断された。
原因
1 排気煙突内に取り付けられた断熱材が、温風器のバックファイヤーの爆風ではがれ落ち煙突内を閉塞し温風器が不完全燃焼し、一酸化炭素ガスがハウス内に充満したこと。2 バックファイヤーの原因はメーカー指定の配線方法等を実施していなかったこと。
3 作業者に、作業の安全または衛生に係る事項について教育を行っていなかったこと。
対策
1 ハウス内は密閉度が高いため、換気設備を稼働させ新鮮な空気を取り入れ一酸化炭素中毒を防止すること。2 温風器の据付に際して、メーカー指定の安全な配線方法を行い、トラブル防止対策を実施すること。