トルエンによる急性有機溶剤中毒
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.801
発生状況
現場は市庁舎の新築工事で、一部壁塗装、設備、庁舎の周りの雑工事等を残すが、全体的に90%以上は進捗していた。災害は庁舎内の内壁塗装箇所で発生した。塗装工事は全体的にほぼ終了しており、災害発生箇所および一部階段周りを残すだけとなっていた。
災害当日まず、被災者A、Bの2名で災害発生箇所の戸口や階段周りの養生を行った。養生を終了し、同2名で11時30分ごろから災害発生箇所の下塗りを始める。
下塗りは、本塗装の下地をつくることを目的としている。下塗り剤は、容量15kg缶に入った粘性を持つ無色透明の液体で、トルエンを70〜80%含有する第二種有機溶剤であった。11時40分ごろに応援のためCが災害箇所に到着し、Cも塗装用のローラーで下塗りを始めた。3名ともほぼ同時期と推測されるが、意識が不明瞭になり戸口付近の床に座り込んでいたところ、12時10分ごろ現場監督員に発見され、救出された。
3名とも下塗り剤に含まれるトルエンの蒸気を吸入して被災したものである。発生箇所は、四方がコンクリートで囲まれており、戸は2カ所設けられているが、これらを閉めれば完全に密閉される屋内作業場であった。下塗り開始時は戸は開いていたが、被災し発見されたときには戸は2カ所とも閉まっていた。災害発生場所は局所排気装置および全体換気装置は設置されておらず、防毒マスクも使用されていなかった。
原因
1 屋内作業場で、塗装の有機溶剤業務を行う際に、局所排気装置を設けることなくかつ、防毒マスクを使用することなく作業が行われたこと。2 有機溶剤作業主任者が未選任であり、作業管理が適切になされていなかったこと。
3 有機溶剤の有害性について衛生教育が不十分なこと等により作業者の認識が希薄であったこと。
対策
1 第二種有機溶剤業務を行う際は、局所排気装置を設けること。壁面の塗装などのように、蒸気の発散面が広く、局所排気装置を設けることが困難な場合は、全体換気装置を設置し、十分に換気を行うとともに、なお、その際有機溶剤の空気中の濃度の急激な上昇を把握するための警報装置などが有効である。また、作業者に防毒マスクを使用させること。2 有機溶剤作業主任者を選任し、その者に作業管理等を行わせること。
3 作業者に対し、有機溶剤に係る衛生教育を徹底すること。