橋梁の型枠製作中、漏れたアセチレンガスが爆発
業種 | その他の金属製品製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.794
発生状況
本災害は、工場内で橋梁のプレストレストコンクリート(PC)桁のコンクリート打設用鋼製型枠の製作作業中、床に置いてあったアセチレン溶断装置の吹管のバルブが緩んでいたため、漏洩したアセチレンガスが作業台の下部に溜まり、被災者が手持ち式のグラインダではつり作業を開始したそのとき、その火花が点火源となって爆発したものである。被災者の所属する事業場は、作業員数23名でPC桁を建設現場等において製作する場合に使用する鋼製型枠を製造し、橋梁架設業者に販売しており、被災者はガス溶接技能講習を修了した後、約27年の経験を有している。
被災当日、被災者は工場内の加工場において、長さ約2m、高さ20cmのH型鋼を床に2本平行に並べて台とし、その上に鋼製型枠1対を載せてクランプで固定し、さらにパイプサポートで支えて倒れ止めとして型枠の仕上げ作業を1人で開始した。
まず、被災者は鋼製型枠の表面の突出した部分をアセチレン溶断装置を用いて溶断した。被災者は、作業が終わると吹管の酸素とアセチレンのバルブを閉めて床に置いた。
次に、溶断後の仕上げのため鋼製型枠の間に入り、しゃがんで手持ち式グラインダを使用してばり取り作業を開始したところ、H型鋼の台付近が爆発した。爆発の程度は、「バン」という爆発音がしただけで被災者の身体に火傷等の外傷はなく、アセチレン溶断装置の破裂や鋼製型枠の損傷、倒壊等は起こらなかった。
被災者は、その後も終業時間まで作業を行い、翌日、翌々日も通常どおり勤務に就いたが、3日後耳鳴りがおさまらないということで病院に行き、耳鼻科で診察を受け、7日間休業した。
工場長と安全衛生推進者である製造部長は、直ちにアセチレンガス溶断装置の点検を行ったが、アセチレンガスボンベ、酸素ボンベ、圧力調整器、導管、吹管のバルブ等に漏れ等の異常は認められなかった。また、吹管は逆火防止の機能が付いていた。
原因
[1] 被災者が、アセチレンガス溶断装置の吹管のバルブを確実に閉めなかったか、または吹管を床に置いた際にバルブが床面に接触したために緩み、アセチレンガスが漏れたこと。[2] 被災者がアセチレンガス溶断装置の吹管を床に置いたため、漏れたガスが工場内に拡散せず、作業台として使用していたH型鋼の付近に溜まったこと。
[3] 溜まったアセチレンガスにグラインダの火花が引火したこと。
対策
[1] アセチレンガス溶断装置の吹管のバルブは、使用後はガス漏れのないよう確実に閉めること。[2] 狭く通風の良くない場所でアセチレンガスによる溶断作業を行った後は、アセチレンガス溶断装置の吹管はそのまま置かず、通風の良い場所に移しておくこと。
[3] ガス溶接の作業標準を作成し、それを関係作業者に周知徹底すること。