発酵タンク洗浄時における酸素欠乏症
業種 | 酒類製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.784
発生状況
本災害は、清酒製造事業場内において、発酵調味料であるもろみの入っていたタンク内部(14kl密閉タンク)の洗浄作業に従事していた作業者が酸素欠乏により被災したものである。災害当日、午前8時半ごろから被災者Aを含め4人が当該事業場において作業に従事していた。約1週間発酵させていたもろみ(発酵タンク内約3分の2の量)を2人で圧搾機へ移す作業を行い、午後3時ごろにタンク内のもろみをすべて排出した。
午後4時ごろから、Aが約10分間発酵タンクのマンホールよりホースを用いて内部を水洗いし、その後仕上げ洗いをするため1人で同タンク内に立ち入った。
午後4時50分ごろ、周囲にAの姿が見えないので、同僚が工場内を捜したところ、発酵タンク底で倒れているAを発見した。
急いで救急車を呼び病院に運ばれたが、5日間の入院治療を受けることになった。
当日は、朝からマンホールを開放しており、災害発生当時、タンク内はきれいに洗浄され、もろみ等の付着物はなかった。また、酸素濃度は、事前に測定していなかった。
原因
(1) 酸素欠乏危険場所における作業を開始する前に、酸素濃度を測定しなかったこと。(2) 酸素欠乏危険場所の酸素濃度を18%以上に保つように換気しなかったこと。
(3) 被災者に酸素欠乏危険作業に関する認識が不足していたこと。
対策
(1) 酸素欠乏危険場所における作業を開始する前に、酸素濃度を測定し、作業場所の状況を把握すること。(2) 酸素欠乏危険場所の酸素濃度を18%以上に保つように換気すること。
(3) 酸素欠乏危険作業に従事する作業者に対し、特別教育を実施すること。
(4) タンク内で行う洗浄作業等については、作業手順に、作業開始前における酸素濃度測定の実施による酸素濃度の確認を加え、再度作業者に対し周知徹底すること。
(5) 酸素欠乏危険作業主任者が法定の職務を確実に行うことにより、酸素欠乏危険作業の管理を徹底すること。