破損したポンプで汲み上げ作業中、有機溶剤が吹き上がり誤飲
業種 | 自動車・同付属品製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.767
発生状況
当該被災者は、7時40分に出勤し、8時から作業を開始した。作業に取りかかろうとしたところ、洗浄槽に有機溶剤(1,1,1―トリクロロエタン)を補充するために準備してあるポリタンクが空だったので、補充すべく油倉庫へ行った。
当該倉庫には、ポンプは複数あったが「1,1,1―トリクロロエタン用」と書かれたものは1つしかなかった。
このため、そのポンプは破損していたが、それを使ってドラム缶からポリタンクへの汲み出し作業を1人で開始した。
ポンプが破損しているため、通常より時間がかかったが、ポリタンクが満タンになったので、汲み出しを止めようとした。そして、ポンプの中に残留している有機溶剤をバケツへ出し終え、ポンプの上部を持って上へあげたとき、破損していた箇所から有機溶剤が吹き上がり、被災者の顔全体にかかった。
この際、呼吸とともに誤って飲み込んでしまった。
この後ポリタンクを移動させたが、頭がクラクラしてきて倒れてしまった。
8時50分頃、倒れているところを同僚に発見され救急車で病院に運ばれたものである。
翌日、尿中代謝物量について検査したところ、
トリクロロ酢酸 68mg/l
総三塩化物 296.7mg/l
であった。
原因
[1] 破損したポンプを使用して有機溶剤の汲み上げ作業を行ったこと。[2] 破損したポンプを倉庫内に放置していたこと。
[3] ポンプの点検を実施しなかったこと。
対策
[1] 壊れた用具等は使用しないこと。[2] 用具等の点検を行い、壊れた用具等を発見した場合には、ただちに廃棄し、新しいものと取り替えること。
[3] 安全な作業手順を明確にするとともに、安全衛生教育を徹底すること。
[4] 有機溶剤の蒸気等によるばく露も想定されるので、保護具等有効なばく露防止対策を確立すること。