消火設備の点検時における酸素欠乏症
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.755
発生状況
本災害は、地下1階に設置された二酸化炭素(以下CO2)消火設備の総合点検(起動容器の作動テスト、選択弁の作動テスト、配管流通テスト)時に消火用のCO2ボンベからCO2が誤ってボンベ貯蔵室に噴き出し、点検作業者2名および警備員1名が酸欠により死亡し、他に2名が酸素欠乏症となったものである。点検作業者は、電気系統の点検の終了後、ガス圧によって作動する選択弁の作動テストと配管流通テストを行うことにした。始めにCO2ボンベの集合管と連結管の継手をはずし、集合管側の継手をビニールテープで封印した。
次に、
(a) 起動容器と選択弁との操作導管の切断
(b) 選択弁とCO2ボンベとの操作導管の切断
の作業を実施した。
しかし、(a)については駐車場用、オイルタンク室用とも切断したが、(b)については駐車場用は切断しなかった。
その後、窒素ガスボンベと駐車場用選択弁を接続し、窒素ガスを放出した。切断されていなかった駐車場用の操作導管を通って開放装置に窒素ガスが流れ、このため、約540m3のCO2がボンベ貯蔵室からおよそ1分の間に宿直室、運転手控室など合計約119m3の空間に噴出し、点検作業者等5人が酸素欠乏症により、死傷したものである。
原因
[1] 配管系統を含む当該消火設備に関する情報が、作業者に十分伝達されていなかったこと。[2] 具体的な作業方法、作業手順等が作業者に示されていなかったため、切断すべき操作導管を切断しなかったこと。
対策
[1] 作業開始前に当該CO2消火設備の電気系統、配管系統、開放すべき配管、閉止すべき配管等について設置図面等により作業者に周知すること。[2] 安全な作業方法および作業順序を確立するとともに、点検作業者に周知すること。
[3] 作業指揮者を選任し、作業指揮を行わせ、災害を防止するために必要な確認を行わせること。
[4] 当該作業を行う場合は送気マスク等の保護具を使用させること。