工場内でのはつり作業で一酸化炭素中毒
業種 | 建築設備工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 建築設備工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.727
発生状況
工事内容は、食肉パック製造室床の既存コンクリート床を削り、樹脂モルタルを塗る作業であった。作業の当日は、午前10時頃より食肉パック製造室のコンクリート床のはつり作業を、床表面はつり機2基と電動式サンダー3台を使用し、次のように7名の分担で作業を開始した。
作業分担は、床表面はつり機1号の運転に被災者A、そのはつり機に接続されている集塵機の運転1名、床表面はつり機2号の運転1名、そのはつり機に接続されている集塵機の運転に被災者B、電動式サンダー3台の操作3名(1人1台)という構成であった。
作業開始時では、用意した可搬式換気用ファン六基(200V2基、100V4基)のうち、排気用として1基(100V)が稼働しており、残りの5基は準備中で稼働していなかった。排気ダクトは見取図で示す位置に設置されていた。
作業を開始して数分後、はつり作業に従事していた作業者が吐き気をもよおしたり、ひざががくがくしたり、気分が悪くなるなどの症状を訴えたため、Aを除いた六名が屋外へ出た。また、換気用ファンの設置のために室内に入っていた別の作業者も体に異常を感じ、屋外へ出ようとしたところ、Aが倒れたことに気がつき、既に屋外へ出ていたほかの作業者を呼び、Aを屋外へ搬出した。
すぐに救急車を呼び、関係作業者7名を病院へ搬入し、全員に診察を受けさせた結果、AとBは一酸化炭素中毒と診断され入院となったが、他の者には特に異常は認められなかった。
作業場の気積については、食肉パック製造室が527.8m3(横幅1,110cm×奥行き1,585cm×高さ300cm〈見取図内の[1]〉)
製造室横の通路が84.9m3(横幅255cm×奥行き1,110cm×高さ300cm〈見取図内の[2]〉)
製造室横の部屋が36.4m3(横幅340cm×奥行き510cm×高さ210cm〈見取図内の[3]〉)
気積の合計(見取図内の[1]+[2]+[3])は649.1m3であった。また稼働していた排気用のファンの能力については、排気量43m3/時間であった。
原因
[1] 換気装置を用意していたにもかかわらず、すべての装置を設置する以前に作業を開始したこと(換気設備の不備および作業手順の不徹底)。[2] 換気が不十分な屋内作業であるにもかかわらず、十分な換気を行うことなく内燃機関を有する機械を使用したこと。
対策
[1] 作業前に、使用する機械や換気装置の種類、能力および排気ダクトの位置等について、十分な検討を行い、安全な作業方法を決定し、これに従って作業を行うこと。[2] 換気が不十分な屋内で内燃機関を使用する場合は、十分な強制換気を行うこと。