廃液の詰め替え作業中、廃液が吐出して薬傷
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.712
発生状況
本災害は、廃液処理作業のため保管していた廃液を、作業者3名が浴びて、数週間休業したものである。災害が発生したA社は、都道府県知事の許可を受けた産業廃棄物処理業者だが、災害発生当時は、処理炉が故障しており、また人手不足でもあり、処理作業は滞っていた。未処理の廃液は、ドラム缶に詰められて敷地内に積み上げられていたが、一部のドラム缶は腐食し、廃液が漏洩するので、適宜新しい缶へ詰め替えることが必要だった。
災害発生当日、被災者3名は、午後3時より詰替え作業を開始した。1本目のドラム缶は、約30分後に同作業を終え、3名は続けて2本目のドラム缶にとりかかった。同作業は、新しいドラム缶の上に一斗缶を自社で加工した漏斗を置き、その上に古いドラム缶をフォークリフトによって、横置きに据えて詰め替える作業であった。
3名が、二2本目のドラム缶の位置を決めて、開栓したところ、廃液が多量に吐出し、上半身に廃液を浴び薬傷を負った。
なお、廃液は、混合物であったが、分析の結果フェノール70%ほか低級アルコールを含んでいた。
原因
[1] 廃液の入ったドラム缶を倒した状態で開栓するために、吐出量の調整ができなかったこと。また漏斗が適正な大きさでなかったこと。[2] 被災者が、保護具としてはゴム手袋しか着用していなかったこと。
[3] 洗顔、洗身設備がなく、緊急洗浄ができなかったこと。
[4] 処理炉が使用できないのにもかかわらず、廃液の搬入を続けていたこと。
[5] 廃液の成分を確認することなしに搬入していたこと。
などが考えられる。
対策
[1] 廃液の詰替え作業においては、ポンプを使用すること。[2] 保護衣、保護面、保護眼鏡、ゴム長靴の着用等、保護対策を図ること。
[3] 廃液の内容物質を明らかにするとともに、取り扱う物質によっては作業主任者を選任すること。
[4] 指揮命令系統を明らかにするとともに、安全管理体制を確立すること。